第1376回
人民から乖離する中国共産党
先月1日、中国共産党は建党90周年を迎えました。
北京では6月頃から
街中の至るところに90周年を祝う看板が掲げられ、
テレビでもたくさんの90周年特集が組まれましたが、
7月1日当日は人民の感情に配慮してか、
いつもと同じように穏やかに1日が過ぎ、
建国記念日である国慶節と比べると
非常に地味な印象を受けました。
なぜ中国共産党は人民の感情に配慮して、
建党90周年を地味に祝わなくてはならないのか?
それは、人民に対して
後ろ暗いところがあるからなのではないかと思います。
1921年の結党時には50余名に過ぎなかった中国共産党員は、
抗日戦争、国民党との内戦を経て、
1949年の新中国成立時には448万人、
2010年末には8,000万人を突破しました。
以前は労働者階級の代表であった中国共産党ですが、
最近では私営企業経営者の入党も認めるようになり、
今では完全に既得権益集団と化してしまいました。
このため、8,000万人の共産党員と、
13億人の人民の利益が相反、
今、人民の心はどんどん中国共産党から離れつつあります。
胡錦濤総書記も7月1日に人民大会堂で発表した重要談話で
「中国共産党最大のリスクは、
共産党幹部の仕事が群衆から乖離することである。
人民の利益にプライオリティーを置かなくなることである」
と話して、危機感をあらわにしています。
今の中国の人民は昔と違って、
中国共産党のコントロールがほとんど効きません。
その危機感と自信の無さが、保守の太子党派をして、
紅色キャンペーンなどの
共産党原点回帰運動というムチを振らせしめ、
リベラルの共青団派をして、
民生重視による貧富の差の解消政策という
アメを与えせしめているのではないかと思います。
彼らももうどうしたらいいのかわからないのです。
中国共産党は早くも2021年の建党100周年までに
「小康社会(しゃおかんしゃーほい、ややゆとりのある社会)」
を建設する、という次なる目標を掲げていますが、
1898年に設立されたソビエト連邦共産党が、
100周年を迎えられずに
1991年に93歳でその生涯を終えたことを引き合いに出して、
中国共産党もあと10年はもたないのではないか、
と予測する人もいます。
中国共産党は2021年にめでたく100周年を迎えられるのか?
今後10年間、中国共産党は抗日戦争、国民党との内戦、
文化大革命などよりも更に大きな、
建党以来最大の正念場を迎えるのではないかと思います。
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