第1371回
カネはあるのに、マイカーが買えない!?

今、北京では
「カネはあるのに、マイカーが買えない」
という人が増えています。

それは、北京市政府が
世界最悪と言われる同市の交通渋滞を解消するために、
今年のナンバープレートの交付数を24万枚と、
昨年の新規登録台数の1/3以下に減らし、
力ずくでマイカーの増加率を抑える政策を
打ち出したためです。

このため毎月交付されるナンバープレートは2万枚。
6月はそこに59万人が申し込み、
競争率は約30倍となったのだそうです。

この抽選システム、
はずれた人は自動的に翌月に繰り越され、
翌月に新たに申し込んだ人と一緒に改めて抽選となります。
このため、この制度が始まったばかりの
今年1月の競争率は約10倍でしたが、
はずれた人がどんどん繰り越されて競争率が毎月上昇、
6月には約30倍にまで達してしまいました。

このまま行くと、競争率は上がるばかりですので、
永遠にマイカーを手に入れられない人も出てきそうです。
「カネはあるのに、マイカーが買えない」。
渋滞解消のためとは言え、
何とも不自由な世の中になったものです。

マイカーを買えない人はどうするのか?

普段の通勤には自転車か、
地下鉄やバスなどの公共交通機関を使うしかありません。
カネはあるので毎日タクシーで通勤しても良いかもしれません。
どちらにしても「郊外のマイホームからマイカーで通勤」という
ホワイトカラーの夢はますます遠のいていくことでしょう。

そして、週末のレジャーには
レンタカーを借りる人が増えるのではないかと思います。

北京では昨年当たりから
「神州租車(しぇんぢょうずーちゃー)」という
レンタカー会社の広告を見ることが多くなってきました。
「今の中国ではマイカーは
社会的地位を表すステータスシンボルだから、
レンタカーを借りる人はほとんどいないのではないか」
と思って見ていたのですが、案の定、経営は苦しそうで、
広告を見ていても「シトロエンのエリーゼが
今なら半額、1日50元(625円)!」とか
「タクシーに乗るより安いです!」など、
なりふり構わないアピールを続けていました。

しかし、そのステータスシンボルであるマイカーが
いくらおカネを払っても買えない、となれば話は別です。
ステータスシンボルとしての
マイカーを持つことを諦めた人たちが、
より現実的な自動車利用の方法としてのレンタカーに殺到し、
「神州租車」に神風が吹く日が来るのも、
そう遠くはないのかもしれません。





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2011年7月20日(水)

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