| 第1337回中国不動産価格、上げ止まりか?
 中国政府は今までずっと不動産価格抑制政策を推し進めてきましたが、
 ここに来てようやくその効果が表れ始めました。
 先日、中国国家統計局が発表した3月の中国70都市住宅価格統計によれば、
 新築住宅指数が前月比で上昇したのは50都市と、
 2月の56都市から減少しました。
 都市別では上海の上昇率が0.2%と2月の0.9%から急減速したほか、
 横ばいとなったのは深センを始め8都市、
 下落したのは杭州の0.1%を始め12都市となりました。
 また、中古住宅指数も前月比で上昇したのは44都市と、2月の50都市から減少しました。
 深センは0.6%、上海は0.4%、杭州は0.1%の上昇となりましたが、下落したのは北京の0.1%を含め16都市に及びました。
 これまで中国政府は様々な方法で不動産価格抑制政策を打ち出してきましたが、
 不動産価格が一向に下がらなかった大きな原因の1つには、
 地方政府が協力的でなかったことがあります。
 財政危機に瀕している多くの地方政府は、不動産価格の高騰を利用した公用地売却で
 赤字の穴埋めをしているのですが、
 中央の不動産価格抑制政策に協力して
 不動産価格が下落してしまえば、
 自分で自分の首を絞めることになってしまうからです。
 そして、そうした事情を見切った中国の不動産投資家たちは、中国政府が「不動産価格は必ず下落させる」
 と言っているにも関わらず不動産への投資を続け、
 中国の不動産価格は上昇を続けてきました。
 しかし、今年3月、中国政府で不動産価格抑制政策を担当する住宅都市農村建設省が、
 不動産価格抑制政策への取り組みを怠った地方政府に対して
 問責制度を導入する方針を明らかにしました。
 具体的には中央の関連部門が地方に対して不動産価格抑制政策への取り組みについての
 検査や実績評価を実施、
 必要に応じて中央への召喚や取り調べを行い、
 「取り組みを怠って、社会の安定に影響を与えた」
 と判断された場合、その地方政府の責任を問う、
 という内容になりそうです。
 この発表で「中央は本気だ」と分かった各地の地方政府は、相次いで独自の不動産価格抑制政策を導入、
 それらが功を奏したこともあって
 3月の中国各地の不動産価格上昇率は
 大幅に鈍化する結果となったようです。
 不動産価格が一旦下げに転じれば、今まで強気で投資を続けていた中国の不動産投資家たちは、
 今度は沈没船から逃げ出すネズミのように我先にと逃げ出し始め、
 中国の不動産価格の下落に拍車を掛けるものと思われます。
 中国政府は中国の不動産投資家たちに「このまま不動産を持っていたら危ない」
 と思わせることができるのか。
 中国政府の不動産価格抑制政策は、
 今後数カ月が成否を決する正念場となるのではないか、
 と私は考えています。
 
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