第1325回
中国で広がる「ジャパンフリー」

依然、予断を許さない状況が続く福島原発。

この福島原発事故による
農産物などの放射能汚染への不安が広がる中、
韓国、台湾、シンガポールなどアジア各国で、
日本産食品の輸入を禁止する動きが相次いでいます。

これは中国も例外ではなく、
中国国家品質監督検査検疫総局は、
農産物から暫定規制値を超える放射性物質が検出された
福島、栃木、群馬、茨城、千葉の5県からの
野菜、果物、乳製品、水産物の輸入を
禁止する措置を取りました。

輸入が禁止されたのはこの5県からの食品だけなのですが、
中国では今、スーパーや日本料理店などで、
福島原発から遠く離れた西日本からの輸入品を含む、
日本の食品全体を敬遠する動きが広がりつつあるようです。

ここ数年、日本産の農産物や食品は、
中国でも安心、安全、高品質の高級品という位置付けで、
値段が中国産のものよりもはるかに高いにも関わらず、
消費者から高い評価を得つつありました。
高級飲食店の中には「日本産以外の食材は一切使用しない」
というお店も出てきていました。

しかし、今回の原発事故が発生してからは逆に
「中国産以外は一切使いません」とか、
「当店が提供する海産物は全て大連産ですのでご安心ください」
といった中国産をアピールする飲食店が増えているようです。

中には、創業以来、日本産の食材を使い続けていることを
「売り」にしていたレストランが一転、
安全性をアピールするために勢い余って
「当店では中国産の食材以外使ったことはありません!」と
今まで産地偽装してきたことを
カミングアウトしてしまうケースも出てきており、
常連客からは「今まで高いおカネを払わされてきたのは
何だったのか」という怒りの声が上がっているそうです。

中国の消費者が日本産の農産物や食品の放射能汚染を
不安に思う気持ちは理解できますし、
その不安を払拭してお客さんに来てもらうために、
飲食店が「ジャパンフリー」を「売り」にするのも分かります。

しかし、福島原発が
日本のどこにあるのかさえ知らないくせに
「日本産=放射能汚染」と
短絡的に考えるのはどうかと思いますし、
先月まで「中国産の食材は危ないので、
当店は安心、安全な日本産を使っています」
と宣伝していた飲食店が、
原発事故が起こったとたんに
「当店の食材は全て中国産なのでご安心ください」
とアピールする節操の無さにも閉口します。

中国の消費者や飲食店には、ぜひ正確な情報を入手して、
理性的な行動を取って頂きたいと思います。





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2011年4月4日(月)

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