第1324回
中国最後の王朝となる決意

過去5000年にわたって
専制的な王朝と皇帝に統治されてきた中国。

それは現在でも、王朝が中国共産党、
皇帝が国家主席に変わっているだけで、
本質的な独裁体制は何ら変わっていません。

中国はなぜ専制的な王朝に統治され続けてきたのか?

それには、様々な理由があるかと思いますが、
国民の力が民主主義を実現させるところまで大きくなったことが、
いまだかつてなかったことも
その理由の1つなのではないかと私は思っています。

国民を徴税と労役によって
生かさず殺さずにしておくことにより、
国民に対する王朝の相対的な優位を保つことが、
広大な領土を中央集権によって治めることを
可能にしてきたのではないでしょうか。

今までの世界各国の実績から見ると、
独裁国家は1人当たりのGDPが3,000ドルを超えると、
国民からの民主化要求が強くなると言われています。
中国の1人当たりのGDPは2008年に3,000ドルを超え、
昨年は4,000ドルを超えました。
この3,000ドルという数字は、
それまでは明日食べるものを確保することしか
頭にない国民が大多数だった状態が、
衣食住が満ち足り、政治のことに
頭が回る国民が多い状態に変化する境界線なのでしょう。

とすれば、逆に言えば独裁政権は、
北朝鮮のように国民をいつまでも貧乏なままにしておき、
1人当たりのGDPが3,000ドルを上回らないようにすれば、
永遠に独裁を続けられる、ということになります。

しかし、中国共産党はそうはせず、
改革開放政策で国民を富ませる道を選びました。
そう言った意味では、
1978年、ケ小平氏率いる中国共産党は、
中国最後の王朝となる決意をしたのです。

ただ、中国最後の王朝となる決意をしたと言っても、
それは1989年でもありませんし、今でもありません。
中国の長期的な国益を考えれば、
一気に民主化することによる混乱は避け、
民主化は中国共産党主導の経済成長と
同時並行的にゆっくりと行っていくべきです。

中国共産党は既に
定員数を上回る候補者を擁立することを義務付ける
差額選挙を導入していますが、
まずは全国8,000万人の中国共産党員の中で、
党内民主主義を徹底することから始めるべきだと思います。
そして、最終的にはその共産党員を選ぶ選挙に
全国民が参加できるようにしていけば、
大きな混乱を招いて国益を損なうこともなく
ゆっくりと中国を民主化していくことができるのではないか、
と私は思っています。





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2011年4月1日(金)

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