第1308回
中国国外で買う方が安い「Made in China」
中国の人たちが海外旅行に行く、
大きな目的の1つがお買い物です。
以前は、海外旅行先でのお買い物のターゲットは、
中国国内では買えない外国製品でしたが、
最近は海外で「Made in China」の製品を
買って帰ってくる人も多いようです。
なぜなら不思議なことに
多くの「Made in China」の製品は、
中国国内で買うより国外で買った方が安いからです。
人民網によれば、
「Made in China」のナイキやアディダスのシューズは、
中国のデパートでは大バーゲンでも
500元(6,250円)を切ることはないのですが、
全く同じものがアメリカのデパートでは
バーゲンでなくても30-40ドル(2,490-3,320円)で
買えるのだそうです。
また、中国の深センで組み立てられた
「Made in China」のiPad(16G,WIFI)は、
香港では3,888香港ドル(40,800円)で売られているのですが、
中国大陸での販売価格は3,988元(49,900円)もします。
中国で生産されて運賃をかけて
海外まで運ばれた「Made in China」の製品が、
中国国内よりも安いのはなぜなのか?
その理由は、外国の方が中国よりも
流通が合理的で流通コストが安いことや、
流通業界の価格競争が激しいことなどもありますが、
中国の増値税の存在も1つの大きな要因であると思われます。
増値税は日本の消費税に当たる付加価値税で、
消費税と同じように最終的には
消費者が負担する仕組みになっています。
税率は17%と日本の消費税の3倍以上で、
中国の税収の40%弱と大きな部分を占めています。
日本の債務残高が国内総生産(GDP)の
200%近くまで膨れ上がっているのに対し、
中国の債務残高がGDPの20%程度と健全なのも、
この増値税の存在によるところが大きそうです。
一方、同じ中国国内でも一国二制度の香港には
付加価値税はありません。
上記のiPadは、
中国大陸の方が香港より値段が22%強高いのですが、
その価格差の大部分は
17%の増値税によるものであると思われます。
逆に言えば、中国大陸でiPadが1つ売れるたびに、
中国政府には日本円で7,000円前後の増値税が
入ることになります。
中国政府にとって増値税は、
国家の根幹を支える非常に大切な税金なのです。
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