第1302回
世界は「資本主義」から「人本主義」へ
日本でも中国でも深刻化する大卒者の就職氷河期。
これは大学進学率が高まって大卒者が急激に増加しているのに、
国内の産業構造の高度化がそれに追いついていないことが
原因と言われています。
このため、両国とも大卒者が余る一方で、
ブルーカラー人材は足りない、という
雇用のアンバランスが生まれており、
大卒者の仕事の選り好みも問題視されつつあります。
しかし、あと10-20年もすれば、
産業構造の高度化が大卒者の増加に追いつき、
就職氷河期などという言葉は死語になるかもしれません。
先日、世界の大企業で組織する
世界経済フォーラム(本部:ジュネーブ)が
発表した報告によれば、世界的な高齢化により、
2030年までに専門知識を持つ高学歴の人材不足が
各国で深刻化する、とのことです。
特に、高齢化が顕著な
日本、ドイツ、カナダ、スペインなどでは、
2020年にも深刻な高学歴人材の不足に見舞われるそうです。
また、日本ほどではないにしても、
一人っ子政策という強烈な少子化政策により、
急速に少子高齢化が進む中国でも、
今後、高学歴人材の不足が深刻になることが予想されています。
今、これだけ余っている高学歴人材が、
どうして10年や20年で足りなくなってしまうのか?
その理由は、世界的な高齢化にあります。
各国とも高齢者が増えて、
労働者が養わなければならない高齢者の数が増えてくると、
労働者1人が稼ぐ金額を増やさなければなりませんので、
国内の産業をより付加価値の高い
稼げる産業に高度化しなければなりません。
産業が高度化すれば、
人材もより高学歴の人が求められるようになりますので、
今後、高学歴人材が不足するであろう、ということです。
ですから、正確に言えば、
「産業構造の高度化が大卒者の増加に追いつく」のではなく、
「大卒者が足りなくなるぐらいに産業構造を高度化しなければ、
高齢化を乗り切れない」のです。
そう言った意味では、海外のマーケットを開拓するためとは言え、
「第1238回 日本人の新卒者はもういらない!?」
でお話ししたように、日本企業が日本人に拘らず、
外国からも優秀な人材を採用しようとしている動きは、
非常に先見の明があると言えます。
今後10-20年で世界は、
おカネを持っている国や企業が勝つ「資本主義」から、
高い付加価値を生み出せる
優秀な人材を持っている国や企業が勝つ「人本主義」に
移っていくのではないかと思います。
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