第1297回
物価高の中国で「弁当派」急増

インフレによる物価高により、
中国では原材料費の高騰に耐え切れずに、
値上げをするレストランが続出しています。

これに対し、昼食は外食を止め、
弁当を持参するサラリーマンが急増しているようです。

有力紙・中国青年報が先日、
インターネットを通じて2284人に対して行った調査によれば、
74%の人が「周囲に「弁当派」がいる」と回答したのだそうです。
そして「弁当派」に弁当を持参する理由を訊いたところ、
72.4%の人が「外食より安上がりだから」と回答した、
とのことです。

元々中国には日本のような
昼食に弁当を職場に持参する習慣はありません。

一般的にはオフィスビルや工場には食堂があり、
食堂で食べない人たちも昼食は
近隣のレストランに食べに行くのが普通です。
このため、私の会社のオフィスがある幸福大厦は
食堂が3つもあるのですが、
従来は毎日12時を過ぎると満席になってしまいましたし、
近隣のレストランもお客さんでいっぱいでした。

このため、食堂や近隣のレストランで吸収しきれない、
いわゆる「ランチ難民」は、
レストランやファストフードのデリバリーを利用したり、
セブンイレブンのお弁当を買いに行ったりしていたのですが、
これも昼時には電話がつながらなかったり、
長蛇の列になったりと、
お昼ごはん一食食べるのにも
大変な苦労をしなければなりませんでした。

しかし、「弁当派」急増、と言われてみれば、
心なしか昼時の食堂やレストランの混み方も
以前ほどではなくなっているように感じますし、
当社でも最近、お弁当を持参する社員が
増えているような気もします。

当社には社員のために冷蔵庫と電子レンジ、
そしてコーヒー、紅茶、中国茶などが自由に飲める
喫茶コーナーがあります。
お弁当を持参した社員は昼休みになると、
傷まないように冷蔵庫に入れてあったお弁当を
電子レンジで温め、お茶を淹れて、
会議室で優雅にランチを楽しんでいます。

お弁当を持って出社するのは重いですし、
お弁当を作ったり、容器を洗ったりという手間もかかります。
しかし、食堂やレストランで席が空くのを待ったり、
セブンイレブンで長蛇の列に並んだり、という苦労を考えると、
「安上がりだから」という理由以外でも、
今後、中国では自分の会社の会議室で
優雅なランチを楽しむ人が
更に増えていくのではないか、と私は思います。


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2011年1月28日(金)

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