第1296回
繁盛する店と潰れてしまう店の違い

北京で起業される日本人の方が増えています。

ここ数年はこのコラムや私の著書
「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)を読まれて、
わざわざ北京まで私を訪ねて来てくれる方も増えており、
今後、北京で起業される日本人の方は
更に増えていくのではないかと思います。

北京で起業される日本人の方が選ばれる業種は、
やはり飲食関係が多いようです。
比較的小資本で始められること、日銭が入ること、
代金回収の心配があまりないこと、
中国人経営のお店と差別化がしやすいこと、
などがその理由であるように思います。

しかし、北京で発行されている
日本語雑誌の広告を見ていると、
華々しく開店したものの、
数ヵ月後にはあえなく潰れてしまうお店もたくさんあります。
北京の日本人経営の飲食店業界は、
既に多産多死の段階に入っているように見えます。

繁盛する店と潰れてしまう店の違いは何なのか?

私は飲食業界についてはド素人ですので、
あまり偉そうなことは言えないのですが、
素人なりに傍から見ていると、どうもその差は、
「中国人のお客さんに受け入れられるか否か」
であるように思います。

確かに日本人のお客さんは
広告のターゲットが絞りやすいですし、
トラブルも少ないので、
開店当初は本当にありがたいお客さんだと思います。
しかし、北京に住む日本人は
外務省の発表では1万人ちょっと。
人口1万人ちょっとの村に日本料理屋が何百軒もあっても、
全てが生き残れるわけがありません。

一方で、北京の常駐人口は2000万人。
内、金持ち上位1%を狙ったとしても、
日本人マーケットの20倍の規模があるわけですから、
中国人のお客さんにいかに来てもらうか、ということは、
飲食店のみならず、北京で商売をするに当たって
非常に重要なことであるように思います。

実際、北京で中国人のお客さんが
たくさん入っている日本料理屋は非常に繁盛しており、
どんどん支店を増やしています。
ただ、正直なところ、日本人の私からすると
その日本料理屋の料理は特別おいしいわけではありません。
しかし、その日本料理の味と値段は、
中国人のお客さんにとってはストライクゾーンなのでしょう。

北京で飲食店を始めようとされている方は、
多分「ホンモノの日本の味を北京でも」という
理想に燃えて来られると思います。
しかし、たくさんの中国人のお客さんに受け入れてもらって
繁盛店にするためには、
自分の主義主張はちょっと曲げてでも、
お客さんが好きなものを受け入れやすい値段で出す、
という割り切りも必要なのではないか、と思います。


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2011年1月26日(水)

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