第1291回
「僕のパパは李剛」

昨年の中国のネット流行語大賞は、
「僕のパパは李剛(りーがん)」でした。

李剛は河北省保定市の警察幹部。
その李剛の20歳代の息子は
地元テレビ局に勤務しているのですが、
昨年10月16日夜、
車で同市内にある河北大学の構内を暴走して
同大学の女子学生2人をはね、
1人が死亡、1人に重傷を負わせました。

李剛の息子は、
自らがはねた女子学生を介抱するでもなく
そのまま車で走り去ろうしたため、
警備員や学生が行く手を阻止、
そこで彼らとの言い合いになったのですが、
その時に李剛の息子が吐いた言葉が
「訴えられると思うなら訴えてみろ!
僕のパパは李剛だぞ!」でした。

もうどうしようもないバカ息子ですが、
これが20年前の中国だったら、
もしかしたら李剛のバカ息子が言う通り、
地元警察の幹部である親父が事件を揉み消して、
はねられた女子学生の家族は
泣き寝入りを強いられていたかもしれません。

しかし、バカ息子の誤算は、
今の中国では4億人の網民(わんみん、ネット市民)が、
中国共産党幹部の不正を厳しく監視している、
という事実を忘れていたことです。
この事件も、その一部始終が
「僕のパパは李剛」の暴言と共にネット上で暴かれ、
中国全土から非難の声が殺到、
親父が事件を揉み消す間もなく、
バカ息子は逮捕されました。

中国では、李剛のバカ息子に限らず、
いまだに中国共産党の幹部や
その家族であることに選民意識を抱き、
法律なんか守らなくても
後から強引な権力の力技でひっくり返せば良い、
と考えている時代錯誤な人たちがたくさんいます。
特に、田舎に行けば行くほど、
そういう考え方の人が多いように思います。

昔は実際そうだったかもしれませんが、
今は4億人の網民の監視の目がありますし、
共産党中央も「国家の滅亡は特権階級の腐敗から始まる」
という普遍的な事実を良く理解していますので、
今では網民の味方です。

今回「僕のパパは李剛」がネット流行語大賞になったことで、
中国全土のいまだに勘違いをしている党員たちが目を覚まし、
今はもはやそんな時代ではない、ということを
認識してくれたら良いな、と思います。


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2011年1月14日(金)

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