第1238回
日本人の新卒者はもう要らない!?

日本の文部科学省の発表によれば、
今年の3月に大学を卒業した人のうち、
就職できた人に比率は2年連続で減少して
60.8%だったそうです。
そして、就職も大学院などへの進学もしなかった人は、
全体の16.1%で、前年度比4.0ポイントの
大幅増となったのだそうです。

日本経済は、一昨年から始まった
世界的な金融危機による景気の後退から、
回復しつつあると認識していたのですが、
日本企業は新卒者の採用について、
慎重な態度を崩していないようです。

しかし、その一方で急激に増加しているのが、
日本企業の外国人採用です。

パナソニックは2011年度、
前年度比で5割増となる1,100人の外国人を採用する予定。
この数字は同社の新卒採用1,390人のうちの
約8割に当たるそうです。
ファーストリテイリングは、
2011年の新卒採用600人のうち半分を、
2012年の新卒採用1,000人のうち2/3を外国人とする計画。
ローソンは今後、新卒採用の2-3割を
アジア諸国から採用する予定。
楽天も新卒採用600人のうち、
1/4に当たる150人を外国人にする見通しです。

これは、既に成熟しきっている日本のマーケットが、
今後、人口減少により更に縮小していくなかで、
日本企業が生き残っていくとしたら、
中国を始めとする経済成長が盛んな外国のマーケットで
売っていかなければならないためであると思われます。

外国のマーケットでモノやサービスを売るならば、
その国の言葉もろくに話せない日本人社員を
わざわざ日本から派遣するよりも、
その国の人を営業人員として雇った方が
良く売れるに決まっていますので、
こうした日本企業の外国人採用は、
今後、ますます増えていくのではないかと思われます。

となると困るのは、日本の大学生です。
ただでさえ日本企業が慎重になり、
採用数を抑えているところに、
その数少ない採用枠を外国人に持って行かれてしまっては、
就職戦線は更に厳しいものになってしまいます。

日本企業にとって、
もはや日本人の新卒者は不要なのでしょうか?

いえいえ、私はそうは思いません。
日本人の新卒者も大きな付加価値を生み出せる人材ならば、
日本企業もぜひ採用したい、と思うはずです。

では、外国のマーケットを開拓するに当たって、
その国の人たちが営業人員として大量に採用される中で、
大きな付加価値を生み出せる日本人とは、
どのような人たちなのか。

1つ目はその国のマーケットをよそ者の目で見られる人、
2つ目は「サービス精神」、「完璧主義」、「生真面目さ」など、
日本人ならではの資質を持っている人。

そして、3つ目は
そうした日本人にしかない視点を生かして売上を伸ばす一方で、
手柄は全てその国の社員が立てたことにする度量を持った人、
ということになるのではないか、と私は思います。


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2010年9月15日(水)

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