第1236回
日本にも投資移民制度の導入を

「中国で稼ぐだけ稼いだら、投資移民制度でカナダへ」。
これは今の中国の人たちの典型的な成功パターンの1つです。

カナダでは外国人に対する投資移民制度を採用しています。

1.カナダ以外の国で事業経営、経営管理者などの実績を持ち、
2.160万カナダドル(1億3,000万円)以上の純資産を所有し、
3.80万カナダドル(6,500万円)を連邦政府認可の
投資プログラムに5年間投資すると、
優先的に永住権が発給されます。

投資移民制度を採用している国はカナダ以外にもありますが、
中国の人たちからカナダが移民先として
圧倒的な人気を得ている理由は、
1つは世界最高水準の医療が無料で受けられること、
もう1つは公立学校であれば世界最高水準の教育を英語で、
高校までは無料で受けられることなど、
カナダ国民と同等の権利を与えられるためです。

医療と子どもの教育は、
中国のお金持ちにとって一番頭の痛い問題です。
もちろん、ある程度はカネで解決できるのですが、
おカネを積んでもどうしても解決できない問題もあります。
その点カナダに移民すれば、
世界最高水準の医療と英語教育を無料で受けられるわけですし、
投資した80万カナダドルも5年経てば、
カナダ政府が100%確実に返してくれるのですから、
お金持ちにとってこんなにいい話はありません。

一方の日本。
中国のお金持ちにとって、
日本は移民先としては考慮の対象外です。
なぜなら、日本は中国人のビザ取得に対して
異様に厳しい政策を採っており、
カナダのような投資移民はおろか、
個人旅行の観光ビザを取るのでさえも一苦労だからです。

これは「中国人の入国=逃げる=不法滞在=犯罪」
という図式が日本人の頭の中に詰まっているためですが、
それは貧乏人の話です。
中国で一財産築いたお金持ちの中国人には、
わざわざ日本に来て不法滞在したり、犯罪を犯したりして、
みすみす人生を棒に振る必然性がありません。

日本では
「少子高齢化にどう対処するか」という議論をすると、
すぐに「働く人の人数を増やすために
移民を受け入れなければならない」という話になり、
「移民を大量に受け入れると、
ヨーロッパのように治安が悪くなる」
という結論になってしまいます。

しかし、それは貧乏な労働者の移民を
大量に受け入れようとするからであって、
お金持ちの外国人「だけ」に来てもらって、
日本に多額の投資をしてもらったり、
日本でたくさん消費してもらったりすれば、
治安の良さを保ったまま、
大量の移民を受け入れるのと同等の
経済効果を得ることが可能なのではないでしょうか。

投資移民制度。
日本も真剣に検討すべきときが来ているのではないか、
と私は思います。


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2010年9月10日(金)

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