第1234回
渋滞解消の切り札・トンネルバス
マイカー時代の到来でますます激しくなる北京の渋滞。
北京市政府は地下鉄を次々と開通させたり、
オリンピックのときに始めたナンバー規制を継続したりして
渋滞を解消しようとしていますが、
今のところ北京の街の渋滞を解消するには至っていません。
そこで、北京市政府が渋滞解消の切り札として
投入を決定したのが、「トンネルバス」です。
「トンネルバス」とは、大通りの両側に簡易軌道を設置、
それをまたぐ形で鉄道のような車両を走らせ、
一般車両はその下を走行する、
という全く新しいコンセプトの公共交通機関です。
「トンネルバス」は道路のスペースを一切取らないにも関わらず、
一般車両や従来型バスの代替交通手段となるため、
交通量を20-30%減らず効果が期待できるのだそうです。
また、旅客輸送能力は1編成当たり1,000人超と
地下鉄に匹敵しますが、建設コストは
1km当たり約5,000万元(6億2,500万円)と
地下鉄の1/10程度とのことです。
そして更に、「トンネルバス」は
電力と太陽光エネルギーで走るため、
大気汚染を防ぎ、環境にも優しい、といいことづくめです。
北京市では現在、モデル車両を製造中であり、
来年7月から同市の西の郊外・門頭溝区で
全長9kmの路線を建設し、走行実験を始める予定。
安全面などで問題がなければ、
来年末には全市で営業を開始し、
将来的には全長189kmの路線網を建設する計画だそうです。
どうですか!この自由な発想!
市政府のエラい人たちなのに、
渋滞につかまった車の中で
「この車のタイヤがビヨ〜ンって伸びて、
他の車の上をスイスイ走って行ければいいのにな...」
と言っている幼稚園児と同じぐらい自由な発想ですよ。
渋滞が激しいのは日本も同じですが、
今の日本でこんな提案をしても
「走行中に誤って扉が開いてしまって、
乗客が下に落ちたら大ケガしますよ」とか、
「万一、トンネルバスの車体が下を走る車の上に落ちたら、
大惨事になるぞ」などと、
いろいろな人たちが「できない理由」をたくさん並べて、
すぐに潰されてしまいそうです。
その点、中国は共産党一党独裁体制ですので、
「現時点ではトンネルバスが最も低コストで
渋滞を解消できる方法だ。
門頭溝で走行実験をして
安全性に問題がなければ実用化する。
以上!
文句のあるヤツは一歩前へ出ろ!」
という感じで、物事がどんどん決まっていきます。
この辺も今の日本と中国の勢いの差を生み出している
原因の1つなのではないか、と私は思います。
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