第1205回
実店舗を廃業に追い込むネット販売

中国のネット販売が
ものすごい勢いで伸びています。

中国政府のシンクタンク・中国社会科学院の
ネット販売の報告書によれば、
2010年の中国のネット販売市場は
約5,000億元(6兆7,500億円)に達するそうです。

中国のネット販売は2007年は
561億元(7,600億円)に過ぎませんでしたが、
2008年は1282億元(1兆7,300億円)、
2009年は2484億元(3兆3,500億円)、
そして2010年は5,000億元と毎年年率ほぼ100%、
文字通り倍々ゲームで増えてきています。

かく言う私も、最近は何か必要なものがあれば、
まずは「淘宝網(たおばおわん)」で
探すことが習慣となっており、
家電製品からドッグフードまで、
何でも「淘宝網」で買うようになってしまいました。

なぜ、私がこんなにも「淘宝網」に
はまっているのか、というと、

1.実店舗に買いに行く手間が省けること

2.実店舗の態度の悪い服務員と話をしなくて済むこと

3.競争が激烈であるため、
  同じ商品が実店舗より確実に安く買えること

4.実店舗より品揃えが良いこと

5.「淘宝網」が不良店舗を排除する、
  様々な仕組みを作っておりトラブルがほとんどないこと

6.宅配便が5-15元(68-203円)と安いわりには、
  速くて確実であること

7.代金は商品を受け取って品質を確認するまでは
「支付宝(じふばお、アリペイ)」が預かっており、
商品の品質に問題があれば返品や交換ができること


などなど、実店舗と遜色のない買い物ができるどころか、
実店舗で買うよりも良いことがいろいろとあるからです。

そもそも北京は物価水準に比べて不動産価格が異常に高く、
毎月高い家賃を払っている実店舗が、
出店料無料の「淘宝網」の店舗に
値段で勝てるわけがありません。
今後、中国ではネット販売にお客を取られて売上が落ち、
家賃負担に耐え切れなくなった実店舗が
どんどん廃業に追い込まれていくことが予想されます。

上記の中国社会科学院の報告書によれば、
2010年の中国ネット販売総額5000億元が、
中国の小売総売上高に占める割合は、
まだ3%程度であるとのことですが、
私自身が「淘宝網」の便利さにどっぷりとはまり、
実店舗で買い物をする機会が
ほとんどなくなってしまった経験から推測すれば、
この割合は今後、
急速に高まっていくのではないかと思います。


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2010年6月30日(水)

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