第1195回
マンション1室に40人!
重慶市に床面積200uのマンション1室を
25部屋に区切って賃貸する男性オーナーが現れました。
区切られた各部屋の面積は10u以下で
ベッドと机を置くのが精一杯ですが、
家賃が月250-300元(3,500-4,200円)と
割安であることから人気を集め、
既に24部屋が埋まり
合計40人以上が生活しているのだそうです。
主な住人は社会人になったばかりの若者。
300元の部屋に友人と2人で住んでいる20歳代の女性は
「悩みは共同の台所(1ヶ所)とトイレ(4ヶ所)が混雑し、
行列を余儀なくされること」とのことですが、
「家賃が安く、職場にも近いので助かっている」
と話しています。
先日、第1185回 北京に「カプセルアパート」オープン
でご紹介した、
日本のカプセルホテルに着想を得た「カプセルアパート」は、
「圧迫感がある」ということで不人気だったようですが、
同じぐらいの家賃でもこちらの
「小分けマンション」は人気のようです。
オーナーの男性にしても、満室になれば250元×25部屋で
少なくとも6250元(8万7,500円)の家賃収入が見込めますし、
今、中国で社会問題となっている
大卒ワーキングプア・蟻族(いーずー)の救済、
という社会的な意義もあります。
今、中国では
たくさんのマンションが建設されていますが、
大部分は100-200uの大きなもので、
地方から出てきた新社会人が
月数百元(数千円)の家賃で借りられるような物件は
ほとんどありません。
これは、中国ではマンションが
投機の対象となってしまっており、
一般庶民の住宅需要とは
かけ離れてしまっていることに原因があります。
地王(でぃーわん、土地成金)にとって、
マンションは資産を表す単なる記号ですので、
人が住めるかどうかはどうでもよく、
値上がりするのであれば、
投機の対象はカジノのチップでもライター石でも
小豆でもなんでもよいのです。
そんな状況の中、今後、この男性オーナーのように、
自分の所有マンションを小分けして
蟻族に安く貸してくれる人が
たくさん出てくればよいと思うのですが、
この40人が住む部屋、階下の住人からは
「声や物音がうるさくて眠れない」という苦情が、
何度も同マンションの管理会社に寄せれられているそうです。
これを受けて、管理会社側は男性オーナーに対して
「改善しなければ、当局に調査を依頼する」
と強硬姿勢を示しているようです。
今後、中国政府にはぜひこうした蟻族救済のための
「小分けマンション」を奨励するような政策を
推し進めて頂きたいと思います。
また、蟻族に対しては、せっかく安い家賃で
住むところを提供してもらうのですから、
夜10時には消灯するなど、近隣住民への配慮を求め、
ルールを守れない人には出て行ってもらう、
という厳しい姿勢も必要なのではないかと思います。
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