第1191回
変わる天津、変わらない天津

現在、北京と天津の間は、
130km以上離れているにも関わらず、
最高時速350kmの高速鉄道により、
ほんの30分で結ばれています。

料金は1等車、69元(970円)、
2等車、58元(810円)と格安、
北京の始発駅である「北京南駅」も、
下の写真のように空港を思わせる立派さと清潔さです。

天津駅に下り立つと、まず目を引くのが、
下の写真に写っている天津環球金融中心の
「津塔(じんたー)」です。

この「津塔」、現在は建設中ですが、
完成すると高さ337メートル、地上75階、地下4階に
オフィスとサービスアパートメントが入り、
天津のランドマーク的存在になるのだそうです。

また、天津駅の前には海河(はいはー)という
河が流れているのですが、
その両岸も河岸公園として整備され、
既に、駅前だけでも
「5年前の天津とは違う!」という感じがします。

さて、ちょうどお腹も空いてきましたので、
まずは食事です。
天津の名物料理といえば何と言っても
「狗不理包子(ごーぶりーばおず)」の肉まん。

「狗不理」とは「犬も無視する」という意味で、
知らない人が聞けばものすごくまずい肉まんを
想像してしまいそうな店名なのですが、
このお店は1858年に開店した老舗で、
かの西太后が「美味である」と称賛した、
という逸話も残っている有名なお店です。

そこで私は
「せっかく天津に来たんだから...」ということで、
「狗不理包子」を食べに行くことにしました。

実は私、5年前に頻繁に天津に行っていたときにも、
何度も「狗不理」に行ったことがあるのですが、
サービスや食事をする環境が悪く、
あまり良い印象は持っていませんでした。

ただ、天津の街も5年前とは見違えるように立派になり、
もしかすると「狗不理」も
進化しているかもしれないと思い、
ちょっと期待をしながらお店に入ったのですが、
そこで私が見たものは、
やる気のない従業員、不衛生な店内、
粗末なテーブルとイスに強制的な合い席、
そして、前金制の
ファストフードのようなシステムにも関わらず、
小さい肉まん6つと前菜、お粥のセットで
88元(1,230円)も取る高飛車な値段設定。
そこには5年前に見た「狗不理」と
全く同じ光景がありました。

変わる天津と変わらない天津。

ハードは5年前とは
全く違う街のようになってしまいましたが、
ソフトは5年前と全く同じ、
相変わらずの天津がそこにはありました。

天津の「津塔」と「狗不理」は、
「ハード一流、ソフト三流」の
今の中国を象徴しているようだ、
と私は感じました。


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2010年5月28日(金)

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