第1177回
共青団政権と地方政府のカンケイ
中国政府が強力な不動産価格抑制政策を
打ち出せないもう1つの理由は、
中国の地方政府の財政がどこも逼迫していることです。
『第1139回 クラッシュ必至?中国不動産バブル』、
でもお話しましたが、1990年代の財政改革により、
中央の財政改善及び国内経済コントロール能力向上のために、
中国の地方政府は徴税権限の大幅な縮小を余儀なくされました。
このため、地方政府は軒並み財政難に陥りました。
こうした財政難を克服するために地方政府は、
本来ならば、地元の産業を振興したり、
企業を誘致したりして税収を確保するべきなのですが、
それには長い時間がかかりますし、
なかなかうまくいかない場合もあります。
そこで彼らが目をつけた
手っ取り早くカネを生み出す打ち出の小槌が、
公有地の売却という手段だったのです。
中国政府が強力な不動産価格抑制政策を打ち出して
不動産価格が下落すれば、公有地売却による赤字の補填、
という麻薬に手を出した地方政府の中には、
禁断症状で財政破綻という死を迎えるところも
出てくるかもしれません。
そうした地方政府が続出すれば、
国内情勢の不安定化は必至です。
中国政府としてはそうした事態は
何としてでも避けなければいけません。
昔の中国共産党であれば、毛主席やケ小平氏が
「そんな安易な手段に手を出すことは許さん!
きちんと地元の産業を振興せよ!」と一喝すれば、
地方政府も震え上がって従わざるを得なかったのですが、
どうも、いろいろな報道を見ていると、中国の地方政府は、
今の共青団政権をなめているとしか思えません。
共青団政権も共青団出身者を中央から
地方政府のトップである党委書記に送り込んだりして、
何とか地方政府をコントロールしようとしていますが、
共青団出身の人材にも限りがあります。
また、いくらトップが
権限を振りかざして部下に指示を出しても、
下からたたき上げで人脈の網を張り巡らせている
地元出身の地方政府の幹部たちが面従腹背で
中央から落下傘で下りてきた党委書記の方針を
表面上は支持するように見せかけて、
実際はあの手この手で骨抜きにしてしまえば、
共青団政権の方針が地方政府に浸透することはありません。
今の中国の共青団政権と
地方政府のたたき上げ幹部との関係は、
行政改革を進めようとする日本の民主党政権と
各省庁のたたき上げ官僚のような
ビミョーな関係になっているのです。
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