第1164回
金儲けだけの人生なんて実にくだらん!
「金儲けだけの人生なんて実にくだらん!」。
これは儲けない金融機関・近畿労働金庫の
テレビコマーシャルの中で
映画監督の井筒和幸さんが言うセリフだそうですが、
今の私は、心の底から本当にその通りだと思っています。
「金儲けをしてなにしろ金持ちになりたい!」
と思っていた私を
こうした考え方に至らせてくれたのは、
他でもない「金儲けの神様」・邱先生です。
邱先生の文章はご本人もおっしゃっておられるように
「食べ物エッセイ、小説、哲学書、
旅行、人生論、文明批評」などを網羅した
「文章のデパート」です。
しかし「デパートの中の数多き売り場の中で、
たまたま金銭ケースに人だかりがして、
そこばかりが世間の注目を浴びてきた」ため、
世間からは「金儲けの神様」という称号を
与えられてしまいました。
ただ、邱先生の金儲け以外の文章は、
人生を楽しむためのヒントに満ち溢れており、
金儲けは人生を楽しむための
手段の1つでしかないことを再認識させてくれます。
へそまがりのようで申し訳ありませんが、
私個人的には「金儲けの神様」・邱先生の文章の中では、
金儲け以外の部分の方が好きです。
また、拝金主義国・中国に来て、
「クリスマス・キャロル」のスクルージのような、
ケチで金儲けのことしか頭にない人間を間近に見たことも、
私が「金儲けだけの人生なんて実にくだらん!」と
考えるようになった大きな原因の一つです。
その知人は、北京でマンションを6部屋所有し、
そのマンションの時価総額だけでも
ざっと1000万元(1億3,000万円)を
軽く超える資産を持っています。
しかし、出すものは舌でもイヤなタイプで、
ガソリン代や維持費が高いマイカーなど論外、
移動は10元(130円)のタクシー代もケチって、
もっぱら4角(5円)のバスを利用して倹約に励んでいます。
みんなと一緒に食事をしても話す話題は金儲けの話ばかり。
そのくせ、会計の際に彼が自分の財布を出したのを
ついぞ見たことがありません。
彼にとっては、金儲けの一方で倹約に励んで、
自分の資産がどんどん増えていくのを見ることこそが、
人生最大の楽しみだと思いますので、
それはそれで良いのではないかとも思うのですが、
私個人的には、彼のような人生を送りたいとは
どうしても思えません。
確かに人生を楽しむためには
ある程度のおカネは必要です。
しかし、私は人生を楽しむための
「手段」であるはずの金儲けが
「目的」になってしまうような人生なんて
「実にくだらん!」と思います。
私は「金儲けの神様」に教わった
金儲け以外のことも大切にしながら、
人生を楽しんでいきたいと思っています。
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