第1152回
定価1000元のところ、9割引で100元!

中国では割引することを
「打折(だーぢゃー)」と言います。

日本語では割引する方の数字で
2割引とか3割引という言い方をしますが、
中国語では割引した後に残る数字で表しますので、
2割引は8折(ぱーぢゃー)、
3割引は7折(ちーぢゃー)となります。

以前、北京で発行されている日本語雑誌に
「全品8割引」という日本料理屋の広告が載っていて、
目を疑ったことがありましたが、
次の号に「全品2割引の間違いでした」という
謝罪広告が掲載されていました。
どうも中国語の原稿に「8折」とあったのを、
日本語訳した人がそのまま
「8割引」と訳してしまったようです。
いくら日本料理屋の利益率が高いと言っても、
全品8割引ではさすがに大赤字でしょう。
知らないというのは怖いことです。

「割引」というのはどこの国の消費者にとっても
魅力的な言葉ですが、中国の人たちも
ご多分に漏れず「打折」が大好きです。
モノを定価で買うことにものすごく抵抗があって、
「打折」してあるもの以外は買わない、
などという人も多いです。

そうなると売る側も負けてはいません。

割引率が高ければ高いほど、たくさんの消費者が
お得感を感じて買ってくれるわけですから、
中国では定価をとんでもなく高い値段に設定して、
常に大きな割引をして売る、という売り方が横行しています。
中には「定価1000元(13,000円)のところ、
1折(9割引)で100元(1,300円)」
などという商品まであります。

「そんなことなら、最初から「定価100元」
と書けばいいじゃないか」とも思うのですが、
消費者は同じ100元を払うのでも、
「定価100元」のものを定価で買うよりも、
「定価1000元のところ、9割引で100元」
と言ってもらった方が得した気分になるので、
その分良く売れるのでしょう。

割引率に惑わされるということは、
その商品本来の価値をわかっていない、
ということです。
私たちが賢い買い物をするためには、
割引率には惑わされず、
「この商品はいくら支払う価値があるのか」
ということを常に考えて、
モノを買う必要がありそうです。


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2010年2月26日(金)

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