第1141回
大丈夫か?上海万博
5月1日の上海万博の開幕まで、
あと3ヶ月となりました。
上海万博は424の国、国際機関の参加が決まっており、
これまで最多だった2000年のドイツ・ハノーバー万博の
170団体をはるかに凌ぐ予定です。
また、来場者の目標も、1970年の大阪万博の記録、
6422万人を上回る7000万人の来場を見込んでいます。
しかし、万博会場の建設は遅れ気味で、
地元の電気工事業者によれば、
配線工事を始められるパビリオンはほとんどない、
とのことです。
事務局も運営リハーサルが開幕直前の
4月下旬までずれ込む見通しを明らかにしています。
また、万博会場の外でも、
1日最大80万人を見込む来場者を受け入れるために、
地下鉄や道路など関連インフラの突貫工事が続いていますが、
昨年末、上海市の地下鉄で起こった事故で
緊急時の態勢不備が露呈し、
市民からは「万博開催中だったらどうなっていたか」と
不安の声があがりました。
事故が起こったのは市の中心部を走る地下鉄1号線。
その日は朝から電気系統の故障、折返し運転中の車両衝突、
駅の変圧器火災などのトラブルが相次いで発生しました。
けが人こそなかったものの、
事故車両の乗客は3時間以上も車内に閉じ込められ、
運休通知や誘導が全くなかった駅には
市民が詰め掛けて大混乱となりました。
上海市の地下鉄の営業距離は昨年1年で100km近く延び、
昨年末には330kmと東京を抜いてアジアトップに躍進、
5月の万博開幕までには更なる開通で400kmを超える予定です。
上海市当局は万博会場周辺に地下鉄駅を10駅も設け、
地下鉄を万博来場者輸送の主軸とする予定ですが、
今回の事故を受け、同市の韓正市長も
「管理能力が建設に追いついていない」と
ハードの建設にソフトが追いついていないことを認めています。
ここ数年の中国の発展はすさまじく、
久しぶりに中国に来て、いつの間にか建てられた
北京や上海の高層ビル群を目の当たりにして
度肝を抜かれた方も多いのではないかと思います。
しかし、街の様子はガラッと変わっても、
人の考え方や能力がそんな短い間に
大きく変わるわけがありません。
上海市の地下鉄に限らず、今中国では
ソフトがハードの発展に追いつかない現象が
至るところで起こっています。
上海万博が中国の「ハード一流、ソフト三流」の現状を、
全世界に露呈してしまう博覧会にならないことを、
心から祈っています。
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