第1138回
中国株バブルは必ずはじける
先日、米金融大手モルガン・スタンレーの
アジア部門幹部、ジェリー・ルー氏は、
過剰流動性が原因となって、
中国の株式市場で膨らみ続けるバブルは、
2010年前半にはじける、との見通しを示しました。
同氏によれば、中国政府による
4兆元(52兆円)の景気刺激策を受けて
昨年スタートしたインフラ整備計画に、
銀行が大量の資金を供給し続けるため、
上海総合株式指数は4000ポイント前後まで上昇するが、
その後、過剰な流動性がインフレを引き起こすため、
景気に対する懸念が広がり、
株式バブルがはじけるだろう、とのことです。
しかし、こんなことは金融機関の専門家に言われなくても、
ちょっと考えれば誰でもわかることです。
はじける時期やはじける規模については
はっきりとはわかりませんが
「今の中国株バブルは必ずはじける」
ということは、私でも断言できます。
昨年の中国政府の経済政策は、
アクセル全開状態でした。
これは輸出の落ち込みを投資や消費で
カバーしなければならないためですが、
こうした金融緩和による流動性が過剰な状態を続けていると、
インフレが再燃する可能性が高くなります。
インフレ率が高くなって物価が上がれば、
一般庶民の生活が苦しくなり、
政府に不満を持つ人が多くなりますので、
国内情勢が不安定になります。
中国共産党としてはこうした事態は
絶対に避けなければなりませんので、
インフレ率が高くなれば、
アクセル全開だった経済政策を一転して、
ブレーキを踏みインフレを抑えようとします。
そうなれば、値上がり期待の投機資金は
株式市場から一斉に資金を引き上げ、
株式バブルがはじける、というシナリオです。
実際、中国人民銀行は先々週、
1年半ぶりに預金準備率を0.5%引き上げ、
金融の引き締めを開始、
金融危機シフトからの出口戦略を模索し始めました。
このため、私が最近一番注視している
中国の経済指標は消費者物価指数(CPI)です。
2009年11月の中国のCPIは前年同月比0.6%増と、
10ヶ月ぶりのプラスとなりましたが、
まだ上昇率が低いため、
株式バブルがはじける心配はないと思います。
しかし、この数字が2007年初めのように
2-3%台まで上がってきたら要注意です。
2007年に中国政府が利上げ、預金準備率の引き上げ、
人民元高誘導など、あらゆる手段を駆使して、
インフレを力ずくで退治しようとしたのは、
みなさんもご存知の通りです。
「CPIが上がってきたら、すぐ逃げろ!」。
これが今年の中国株投資で痛い目に遭わない
鉄則なのではないかと思います。
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