第1127回
2009年中国流行語大賞 不動産の部
国営新華社通信の記者が選んだ、
今年の流行語大賞で役人の不正を表す言葉と
同じぐらい多かったのは、
不動産に関する言葉です。
まず「地王(でぃーわん、土地成金)」。
今年は金融危機が世界を
不景気のどん底に叩きつけたにも関わらず、
中国の不動産市場は値上がりを続け、
中国各地で不動産投資で大儲けをした
「地王」が続出しました。
そうした「建設すればすぐ完売」という状況の中で、
粗悪な造りのマンションも濫造されました。
上海で建設中のマンションが倒れるという
「楼倒倒(ろうだおだお、倒れた建物)」を始め、
四川省成都の「楼歪歪(ろうわいわい、傾いた建物)」、
山東省烟台の「楼脆脆(ろうついつい、もろい建物)」など
「楼××(××な建物)」という言葉も流行語となりました。
こうして土地成金や不動産開発業者が
不動産価格の高騰で乱舞する中、
一般庶民にとってマイホームは
ますます高嶺の花になりつつあります。
しかし、「今買わなければ、一生買えなくなる」と
多額の住宅ローンを組んで
無理をしてマイホームを手に入れる人もいます。
そうした人たちに
「あまりに現実的で自分の生活を見ているようだ」
と大反響を呼んだテレビドラマ
「蝸居(うぉーじゅぃー、カタツムリの家)」も
流行語に選ばれました。
このドラマは多額の住宅ローンを組んで
カタツムリの殻のように小さいながらも
夢のマイホームを手に入れたものの、
ローンの返済ができずに
夫が高利貸しに手を出したり、
妻の妹が不倫相手の市長秘書からカネを借りたりと
七転八倒する姿を描いたものです。
劇中、登場人物の1人が
「いくら稼いでも住宅価格の上昇速度には
永遠に追いつかない」と嘆くなど、
中国の格差問題の核心を突くような表現もあり、
北京のテレビ局がこのドラマの放送を突然打ち切ったのは、
当局が放送禁止の命令を出したためだと言われています。
中国の人たちの持ち家志向は、
日本人のそれよりもはるかに強いです。
先日、36万人が参加したインターネットの調査では、
約8割の人が「幸福とマイホームは密接に関係する」
と回答しているそうです。
不動産価格の高騰により、
「持てる者」と「持たざる者」の
格差がどんどんと開いていく中、
多くの国民に幸福を感じてもらい、
国内情勢を安定させるためには、
中国政府は日本の公団住宅のような安価な住宅を
大量に供給する必要があるように思います。
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