第1126回
2009年中国流行語大賞 不正役人の部
毎年年末になると
その年の世相を表した流行語が発表されます。
流行語を見れば、その国が
どんな1年を送ってきたのかがよくわかります。
まずは、日本の今年の流行語。
先日、発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」
(「現代用語の基礎知識」選)では、
大賞の「政権交代」以下、
「こども店長」、「事業仕分け」、「新型インフルエンザ」、
「草食男子」、「脱官僚」、「派遣切り」
などの言葉が選ばれました。
「政権交代」、「事業仕分け」、「脱官僚」など、
やはり今年は歴史的な政権交代に関する言葉が多いようです。
一方の中国では
国営新華社通信の記者が流行語を選びます。
今年もたくさんの流行語が選ばれたのですが、
その中に「躱猫猫(どぅおまおまお、目隠し鬼)」
という言葉があります。
これは今年初め、雲南省の留置場で
収容者が暴行され死亡した事件で、
当局が「収容者は躱猫猫をしていて、
壁に頭をぶつけて死亡した」という
あまりにバカバカしい説明をしたため、
インターネット上で当局に対する批判が
集中したことから流行語になりました。
また、「釣魚執法(でぃあおゆぃーぢーふぁー、
引っかけ検挙)」も流行語に選ばれました。
これは上海市の警察当局が
無許可営業タクシーの検挙成績を上げるために、
おとりを雇ってヒッチハイクをさせ、
無実の一般ドライバーを検挙していた、
という事件から生まれた言葉です。
こうした言葉が流行語に
選ばれていることからもわかるように、
今年もやはり、中国では役人による
事実の隠蔽や不正がなくなることはありませんでした。
しかし、私個人的には、国営の新華社通信が
「躱猫猫」や「釣魚執法」といった
共産党の役人による事実の隠蔽や不正を表す言葉を
今年の流行語として選んでいることは、
昔と比べれば大きな進歩なのではないかと思います。
昔の共産党であれば、こうした単語の存在自体を
隠蔽したのではないでしょうか。
国営新華社通信が、言ってみれば身内の恥を
流行語として発表せざるを得なくなっている背景には、
中国の民衆パワーの増大があります。
特に「インターネット民主主義」と
「暴動民主主義」の台頭は、
中国共産党にとって
無視のできない存在となりつつあります。
来年以降、インターネット利用者と
暴動参加者のパワーが更に増大して、
役人の不正を抑止し、
ぜひ役人の不正に関する言葉が
その年の流行語にならない社会を
作ってほしいものだと思います。
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