第1121回
仁義なき戦い 重慶代理戦争
共青会若中の胡春華は、
まだ46歳ながら将来、共青会会長就任が
確実と言われる若手のエースだ。
しかし、胡春華を次の次の共産会の会長に据えるためには、
胡が共産会の会長を務めている間に共青会の勢力を拡大し、
来るべき江組政権の冬の10年間を
耐え抜く体力を付けなければならない。
一方の江組は、何としてでも共青会の勢力拡大を阻止し、
2012年に江組若頭の習が共産会会長に就任した暁には
一気に共青会幹部の粛清を行い、
共産会での江組長期安定政権の基盤を築きたい考えだ。
そうした両陣営の思惑が交錯する中、
重慶を舞台に共青会と江組の代理戦争が
繰り広げられることとなった。
現在、重慶は江組の若頭補佐である
薄の縄張りとなっている。
薄は今年、重慶の地回りヤクザの徹底的な粛清を行い、
地回りヤクザとつながって不正をしていたとされる
複数の地元共産会幹部も吊るし上げた。
その吊るし上げられた地元共産会幹部の中には、
共青会の若頭補佐である汪の縄張りだった時代に、
汪が抜擢した若い衆も含まれていた。
どうも、薄の粛清の真の標的は、
地回りヤクザなどではなく共青会にあったようだ。
これに怒った胡は、共産会の組織を動かし、
薄の今回の粛清に問題がなかったかを調査する
共産会の調査団を重慶に派遣した。
そして共青会幹部である調査団の団長に
「今回の粛清はやりすぎであり、
重慶の共産会組織に大きな打撃を与えた」
との調査結果を発表させた。
これにより、一次団体である共産会から
正式に批判を受けた薄が所属する江組は
一気に守勢に立たされることになった。
こうして今日も、共青会と江組の暗闘は、
地域住民の意思とは全く関係のないところで
繰り広げられていくのであった。
(完)
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