第1074回
風吹けば誰が儲かる?

中国で太陽光と並んで
注目されている自然エネルギーが風力です。

中国政府は中国国内の7ヶ所を風力発電の拠点と位置付け、
2020年までに「7大基地」合計の発電能力を
1億2000万キロワットまで拡大する計画です。
計画では内モンゴル自治区の2ヶ所が
合計で5780万キロワットと最も多く、
次いで吉林省2300万キロワット、甘粛省1270万キロワット、
河北省と新疆ウイグル自治区が各1080万キロワット、
江蘇省が1000万キロワットとなっています。

こうした中国政府の方針を待つまでもなく、
中国では既に風力発電施設の建設ラッシュが始まっています。

最近では、華潤電力が広東省汕頭市で
4万キロワットの風力発電所の稼動を開始。
同社の風力発電所の総出力は18万キロワットとなりました。
同社は更に、広東省連州市に20万キロワットの
風力発電設備を建設する計画を発表しています。

山西省の章沢電力は内モンゴル自治区包頭市で
5万キロワットの風力発電を開始しました。
同社は順次同発電所の規模を拡大し、
最終的には30万キロワットまで拡張する予定です。

浙江省の華儀電気は内モンゴル自治区錫林郭勒盟で
新たに総出力100万キロワットの
風力発電設備を建設することで地元政府と合意しました。
同社は既に内モンゴル自治区の他の地域と吉林省で
風力発電事業を始めています。

風力発電所を作る場所の要件は、
何しろ風が強いこと。
このため、太陽光発電に比べると
風力発電設備が建設される地域の分布は、
比較的中国全土に広がっています。

しかし、上記の各社が
風力発電所を建設している場所の地名を見ると、
やはりどちらかと言うと辺鄙なところが多いようですので、
太陽光発電同様、目立った産業がなく貧しかった地域が、
「年中強い風が吹いている」という
今まで何の自慢にもならなかった地域の特徴によって、
豊かになっていく可能性は大いにあります。

しかし、先日、風力発電「7大基地」の1つ、
吉林省を視察した温家宝首相は
「適度な規模を維持することが必要だ」と述べ、
業界に対し風力発電設備の盲目的な拡張により、
発電能力過剰の状態に陥らないよう警告をしました。

業界に詳しいアナリストによれば、
中国の風力発電設備の製造能力は
既に需要を超えているのだそうです。
また、送電網整備が不十分なため、
風力発電で生み出された大規模な電力を送電できずに
操業を開始できない風力発電所もあるとのことです。
「儲かる!」と見れば、
猫も杓子も雪崩を打って飛び込んでくる
中国企業の行動様式をよく表している状況です。

とは言え、中国の風力発電能力の拡大は、
地球温暖化防止という地球的な問題の解決にもなりますし、
貧困地域の振興という
中国の国内問題を解決することにもなります。
中国政府にはぜひ送電網を早急に整備してもらい、
風力発電能力拡大のネックを解消してほしいと思います。


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2009年8月28日(金)

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