第1054
景気回復一番乗りを目指す中国

先日、経済協力開発機構(OECD)は
最新の経済見通しを発表しました。
それによれば、中国経済は
金融政策、財政出動による大規模な景気刺激策を受け、
昨秋来の景気減速から力強く回復しつつあり、
実質国内総生産(GDP)の伸び率は2009年は7.7%、
2010年には9.3%を確保する、とのことです。

やはり、世界的な金融危機の影響による景気の減速から、
世界で一番最初に抜け出すのは中国になりそうです。

しかし、OECDは中国経済がこれだけの成長をしても、
なお同国が元々持っている潜在力には余力があると見ており、
それによる物価下落の圧力も根強く残ると予測しています。
中国は2007年、2008年に7%台のインフレに見舞われましたが、
OECDの予測によれば中国の消費者物価指数(CPI)は
2009年は2.0%、2010年は0.5%の上昇に止まる見込みです。

実質GDPとCPIの差は、
2009年で差し引き5.7%、2010年で8.8%ですから、
単純に言えば、中国の人たちは
金融危機による景気減速の局面においても、
年間5-10%は豊かになっていく感覚を
味わい続けることができる、ということです。

この「豊かになっていく感覚」というのは非常に重要で、
去年より今年、今年より来年と
だんだん豊かになっていくことが実感できれば、
人々は今の生活が多少苦しくても
希望を持って生きていくことができます。
「中国では格差の広がりが大きな社会問題になっている」
というような報道が日本ではされていますが、
実際は都会の金持ちを
羨んだり、妬んだりする田舎の農民は少なく、
彼らは自分の生活が少しずつでも良くなっていけば
それで十分満足なのです。

こうした「豊かになっていく感覚」は
中国の国内情勢安定に非常に有利に働きますし、
国内情勢の安定は
中国経済の更なる成長の前提となるものです。
ゆえに、今後中国は、
国民生活の向上→国内情勢の安定
→更なる経済成長→国民生活の向上、という
良い循環に入っていくのではないでしょうか。

但し、地方のバカ党員が
汚職や無茶苦茶な行政で暴動を誘発し、
中国共産党自らが国内情勢の安定を
損なってしまわなければの話ですが...。


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2009年7月13日(月)

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