第1038回
「この商品を売ってください」
「世界最大且つ最後の巨大市場」と言われて久しい中国。
世界中の企業がこの巨大市場で
いかにモノを売るかに躍起になっていますが、
中国の人たちの財布のヒモは思いのほか固い、
というのが実情です。
特に、昨年後半からの世界的な金融危機による景気の減速で、
中国の人たちの将来に対する不安は増大、
2008年の一般家庭貯蓄率は過去最高の28.8%に達しました。
そんな中で「この商品を買ってください」と言っても、
彼らの財布のヒモはなかなか緩まないのです。
ただ、「この商品を売ってください」ならば話は別です。
その商品を売りさばいて利益を上げる確信が持てるならば、
彼らは喜んで「仕入れ」という名の「投資」のために
財布のヒモを緩ませます。
中国の人たちは、一度おカネを払ってしまったら
それっきりになってしまう「消費」には渋いですが、
払ったおカネが仲間を連れて帰ってくる「投資」にならば
喜んでおカネを払うのです。
このため、中国では「ねずみ講の被害に遭った」とか、
「投資詐欺に引っかかった」という
投資関係の詐欺の話はよく聞きますが、
日本ではよく聞く「高額の羽毛布団を買わされた」とか、
「リフォーム詐欺に遭った」という
消費関係の詐欺事件はほとんど聞きません。
中国の詐欺師は中国人の商売人気質につけ込んで、
カネを騙し取るんですね。
こんな事情から、中国でモノを売りたかったら、
「この商品を買ってください」ではなくて、
「この商品を売ってください」と言って、
自社の商品を「消費」として買ってくれる人ではなくて、
「投資」として仕入れてくれる人を
増やした方が良いように思います。
安利(あんりー、アムウェイ)の中国での売上は、
他のどこの国よりも多いそうですがそれもうなずける話です。
「13億総商売人」の国でモノを売りたい場合、
マルチ・レベル・マーケティングで
「投資」として仕入れてくれる人を増やすことは
非常に合理的な選択なのです。
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