第1020回
金融危機を利用して将来の資源確保に動く中国

中国が景気の良いときには解決できなかった
もう1つの問題は資源問題です。

中国が今後、持続的な経済成長をしていくためには
資源の確保が不可欠です。
しかし、中国国内の資源は限られていますので、
海外の資源権益を確保しなければならないのですが、
世界経済が好調で資源価格が高騰していた時には、
資源権益の価格も高騰し、
その確保はなかなか進みませんでした。

それが世界的な金融危機で世界中の経済が停滞、
資源に対する需要が落ち込み、
資源権益の価格も大幅に下落しましたので、
中国政府は将来の資源確保のために、
ここぞとばかり資源権益の獲得に乗り出しています。

まずは、中国の国有非鉄最大手・中国アルミが、
英豪資源大手・リオ・ティントに
195億米ドル(1兆9500億円)の追加出資を行い、
出資比率を従来の9%から最大18%まで増やしました。

今回、リオ・ティントが
中国アルミの出資を受け入れた背景には、
世界的な金融危機の影響でリオ・ティントが
資金繰りに困っていたということがあるようです。
資源価格が高騰して、リオ・ティントが
世界3大資源メジャーの1社として
飛ぶ鳥を落とす勢いだった時には、
まず受け入れられなかったであろう追加出資です。

そして、石油。
中国の習近平(しーじんぴん)国家副主席は
今年2月中旬ブラジルを訪れ、
同国からの原油調達の約束を取り付けてきました。
内容としては、中国国家開発銀行が
ブラジルの国営石油会社・ペトロブラスに
最大100億米ドル(1兆円)を融資、
その見返りとして中国石油天然気集団(CNPC)と
中国石油化工(シノペック)に
最大日量16万バレルを供給するというものです。

中国では国家副主席自らが石油調達に奔走するぐらい、
資源問題が国家の将来を左右する問題として
重視されている、ということなんですね。

中国政府は更に
ロシアの政府系石油会社・ロスネフチと
石油輸送会社・トランスネフチに
250億米ドル(2兆5000億円)を融資し、
今後約20年間にわたって
日量30万バレルの供給を受ける契約を結びました。

中国政府は上記の他にも資源の獲得を進め、
その投資総額は600億米ドル(6兆円)に
上ると見られています。
逆に言えば世界的な金融危機の最中だからこそ、
この程度の金額で済んだとも言えそうです。

危機の機は機会の機。
日本はこの中国政府の
転んでもタダでは起きないしたたかさに
学ぶべきことは多いのではないでしょうか。


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2009年4月24日(金)

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