第998回
1杯1300円のコーヒー
最近、中国の星巴克
(しんばーかー、スターバックス)では、
雲南省産のコーヒー豆をブレンドした
コーヒーの販売を始めました。
このコーヒーには
「鳳舞祥雲(ふぉんうーしゃんゆん)」という
何とも優雅で縁起の良さそうな
中国風の名前が付けられています。
中国の星巴克ではこれまで
アメリカから輸入したコーヒー豆を使用していましたが、
現地調達により関税や物流コストの低減を
図る狙いがあると見られています。
また、このコーヒーはシンガポールやマレーシアの店舗でも
販売する計画なのだそうです。
邱さんが雲南省のコーヒーに目を付けたのは2002年。
それから7年も経ってようやくコーヒー界の巨人が
雲南省産コーヒーのおいしさに気が付きました。
いつもながら邱さんの先見の明には脱帽です。
さて、1999年にスターバックスが中国に進出してから
今年で10周年。
10年前に比べると中国でも
随分とコーヒーを飲む人が増えてきましたが、
私が「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)でも
お話ししましたように、
星巴克のコーヒーはいまだに
「ブルジョワ階級」の飲み物です。
星巴克の中杯拿鉄
(ちょんべいなーてぃえ、トール・ラテ)は
25元(325円)ですが、
北京の物価は東京の1/4ぐらいですので、
4倍すると1300円ぐらいの感覚です。
東京でも1杯1300円のコーヒーを日常的に飲める人は、
「ブルジョワ階級」に分類しても
良いのではないでしょうか。
そんな「ブルジョワ階級」が飲む、
一般庶民から見れば高嶺の花の
飲み物を提供しているにも関わらず、
星巴克のお店は大都市を中心に既に700店近くに及び、
日本のスターバックスの店舗数約800店に迫る勢いです。
そして、中国の景気が減速する中にあっても、
星巴克は積極的な出店を継続し、
今年は大都市だけではなく、
地方都市への進出も計画しているのだそうです。
中国の1人当たりのGDPは3000米ドルと、
まだまだ日本の1/10以下です。
しかし、スターバックスの店舗数が
日本と同じぐらいまで増えている、ということは、
たった1杯のコーヒーに25元を払える
「ブルジョワ階級」の人たちが、
既に日本と同じぐらいの数に達している、
ということを表しているのではないでしょうか。
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