第994回
造反共産党幹部の明暗(2)

一方で造反が「暗」と出てしまったのは、
中国の中央銀行・中国人民銀行の
周小川(ちょうしゃおちょわん)総裁です。

周小川氏は2008年前半、
前年から続いていたインフレを抑えるために
金融引き締め政策を強化していましたが、
経済の見通しが明らかに暗くなった同年夏になっても
インフレ抑制政策を続行しました。

更に9月に入っても
「中央銀行として我々の重点はインフレ抑制だ」
という発言を続け、
米証券大手リーマン・ブラザースが破綻したのに対応して、
金融担当の王岐山副首相が経済関係の高官を集め、
景気対策としての利下げを決定した重要会議にも欠席。
同氏のインフレ抑制政策への固執が、
世界的な金融危機の中国経済に対する被害を
拡大したと言われています。

共産党指導部は今回の周小川氏の
造反と失策に対して非常に怒っており、
中国の金融業界では、先日、
同氏が共産党内の会議で自己批判を強いられた、
といううわさが流れているそうです。
また、同氏は近く更迭されるのではないか、
という話も出ているようです。

周小川氏は1998年に50歳で
中国人民銀行の総裁に就任した超エリート。
しかし、共産党指導部に対して造反してまで
インフレ抑制政策に固執したことにより、
同氏は自らのエリート人生に
幕を降ろすことになってしまいそうです。


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2009年2月23日(月)

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