第956回
日本再生のための中国BPO

中国へのアウトソーシングをテーマとした
ドラマ「OLにっぽん」。
このドラマの企画に当たって参考とされたのが、
海野惠一さんが書かれた
「本社も経理も中国へ 交通費伝票は中国で精算する」
(ダイヤモンド社)という本です。

海野さんは大手コンサルティング会社・
アクセンチュアの代表取締役を退任された後、
スウィングバイ2020を設立され、
その業務の1つとして日本企業の
中国へのBPO (Business Process Outsourcing)を
支援する仕事をされています。
私が最も尊敬する経営者の一人です。

海野さんが日本企業のBPO支援をしているのは、
単に日本企業のコスト削減を手伝うためではありません。
海野さんはBPOを通じて中国人と一緒に働くことにより、
日本企業のグローバル化を図り、
最終的には日本をアジアのリーダーとして
もう一度再起させることを目的として事業をされています。

海野さんによれば
中国が世界一の経済大国となるのは時間の問題であり、
そうなれば日本がその影に隠れて
存在感がなくなってしまう可能性が大いにあると言います。
そのタイムリミットは2020年。
そうした危機感が「スウィングバイ2020」という社名に
込められているのだそうです。

中国へのBPOというと、
日本企業の正社員の仕事を奪うことになりますので、
一見、日本のためにならないように見えるかもしれません。
しかし、経済がグローバル化して
世界がフラットになっている現在の状況において、
誰にでもできる仕事をしている正社員に高い給料を払うことは、
その日本企業、延いては日本国全体の競争力を
著しく弱めることになります。

誰にでもできる仕事は潔くコストの安い人にアウトソースし、
正社員は正社員にしかできない
付加価値の高い仕事をするべきです。
それが、日本の1人当たりのGDPを引き上げることになり、
日本を少子化で人口が減少しても
国民1人1人が豊かで幸せに暮らし、
諸外国からも一目置かれる国にするのではないかと
私は思います。

「OLにっぽん」にも
仕事を奪われることを恐れた日本人正社員が、
中国人研修生の業務習得の
邪魔をするシーンが出てくるようですが、
日本人正社員は
中国人研修生にできる仕事は彼女たちに任せて、
自分はもっと付加価値の高い、
自分にしかできない仕事を探すべきなのです。


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2008年11月28日(金)

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