第928回
中国でも財政出動か?
中国政府が6兆円規模の景気刺激策を打ち出すのではないか、
といううわさが流れてから早や1ヶ月。
今のところ中国政府は何の動きも見せていません。
今年1-6月の中国の消費者物価指数(CPI)の上昇率は7.9%。
依然として高い水準が続いています。
昨年後半までは
このインフレを抑制するために金融引き締めを行い、
景気の過熱を抑えているだけでよかったのですが、
今年に入ってからは景気の減速傾向が顕著になってきて、
昨年11.9%を記録した国内総生産(GDP)伸び率は、
今年1-6月には10.4%まで落ち込みました。
このインフレの中で景気が減速するという、
いわゆるスタグフレーションの状態を回避するため、
中国政府は今年7月に「インフレ抑制政策」は堅持しつつも、
マクロ経済政策を「景気過熱防止」から
「安定成長」に軌道修正しました。
そして、おりからの人民元高に加え、
資金調達コスト高、原材料高、人件費高の
トリプルパンチに苦しむ繊維輸出会社をターゲットに、
8月から輸出増値税還付率の引き上げ、
融資限度枠の拡大などの具体策を打ち出しましたが、
企業側のコスト上昇や資金繰りの悪化は
そんなものではとてもカバーできず、
もっと大規模な経済対策が待望されています。
中国紙の報道によれば中国政府が計画している景気刺激策は、
1500億元(2兆4000億円)の減税と
2200億元(3兆5000億円)の財政支出。
2つ合わせた3700億元(約6兆円)は、
中国の2007年のGDPの約1.4%に当たるのだそうです。
減税の対象は主に中小企業と輸出企業。
財政支出は主に社会サービスや教育、科学、農業分野に配分され、
大規模なインフラ事業への配分は10%以下となるようです。
日本でも財政出動による
景気刺激策を主張する人が自民党の総裁となり、
今日から始まる臨時国会で
総理大臣になることが予定されていますが、
財政出動には必ず「原資はどうするのか?」
という質問が付いて回ります。
では、中国政府はこの6兆円もの景気刺激策の原資を
どこから調達するのか。
中国紙によれば「今年上半期の財政収入が
予算目標を33.3%も超えたのでそこから出す」
のだそうです。
何だか日本と違って国家財政に余裕があるようで、
いいですなぁ。
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