第907回
日本代表選手への安心食材提供作戦

オリンピックの日本代表選手のみなさんの多くは、
北京の食に対して不安を持っているようです。

そんなに不安なら日本から食材を持っていけばいいじゃないか、
と思われるかもしれませんが、
外国選手団の中国への食材持ち込みは禁止されています。

アメリカ代表チームはオリンピック期間中
アメリカ代表選手が口にする全ての飲料水、食材を
アメリカから持ち込む計画を立てていましたが、
「北京オリンピック用の食材の安全基準は
国際基準より厳しいものになっているばかりでなく、
食材の種類では各国選手の食習慣の違いに配慮している。
選手たちの食の安全に対する需要を
完全に満足することができるため、
海外からの食材の持参は認めない」
ということで中国側に持ち込みを拒否されています。

アメリカだけでなく世界各国が選手村の食事の安全性を信用せず、
続々と食材を持ち込むような事態となれば、中国が最もイヤがる
「メンツ丸つぶれ」状態になってしまいますので、
中国政府はこうした強行措置に出たのでしょう。

こうなると、日本代表選手はイヤでも
中国の食べ物を食べなければいけないのですが、
いくら中国に住んでいる私たち日本人が
「大丈夫です」と言っても、
彼らの食に対する不安が払拭できなければ
競技の成績にも関わってきます。

そこで私がオリンピック担当実行委員長を努める
「北京オリンピック・パラリンピックを応援する
中国在留日本人の会(応援する日本人の会)」では、
日本代表選手に安心して競技に集中して頂けるように
「日本企業又は日本人が経営する農場からの
食材のみで作った料理の提供」を
日本オリンピック委員会(JOC)にご提案しようとしました。

山東省ではアサヒビールの子会社・朝日緑源が
アスパラガス、スイートコーン、
いちご、牛乳などを作っていますし、
北京、上海、大連の郊外でも
日本企業又は日本人の個人が経営している農場があり、
牛肉、豚肉、卵、野菜などの供給が可能です。
こうした食材のみを使って料理を作り、
日本代表選手に提供しようという作戦です。

この作戦は種々の支障があり、
結局実現には至りませんでしたが、
こうした食材が北京のどこで買えるか、
という情報だけはJOCにお送りしました。

さて、明後日からいよいよオリンピックが始まります。
日本代表選手には、
北京の食に対する不安に心を惑わされることなく、
自身の実力を100%出し切って良い成績を収めて頂くことを
心よりお祈りしております。


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2008年8月6日(水)

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