第893回
日本の中小企業が自社製品を中国で売るには

では、日本の中小企業が
自社製品を中国で売ろうと思ったら、
具体的にはどうしたら良いのでしょうか。

最も簡単なのは、中国のその業界で
既に販売ルートを持っている日本の商社に、
販売をお願いすることです。
そうすれば中国人材を揃えたり、
中国語の勉強をしたりしなくても
中国に自社製品を販売することができます。

ただ、商社も商売ですので、
それなりのコミッションは取りますし、
「この製品なら売れる!」という確信を持ってもらえなければ、
引き受けてもらえません。

商社を使わず自力で販売する場合は、
日本側で日本語を話せる中国人社員を採用する必要があります。
そして、中国で開かれるその業界の展示会に出展したり、
販売ルートを持っている中国企業を訪問したりして、
販売代理店を募ります。
信頼できる販売代理店との委託契約が締結できれば、
後は自社の中国人社員と直接やり取りさせれば、
問題はないかと思います。

中国に事務所を作って
現地で日本語を話せる中国人社員を採用する、
という手もありますが、
事務所設立、維持の費用や手間、
中国人社員の教育や管理を考えた場合、
やはり、中国人社員は日本で採用して、
販売代理店との連絡に当たってもらった方が
良いように思います。

輸出入契約は日本の本社と販売代理店、
販売代理店が輸入権を持っていない場合は
販売代理店が指定した輸出入公司との間で
締結することになります。
一般的にはある程度まとまった量を輸出し、
販売代理店は買いきりとなりますので、
売れ残りリスクは販売代理店が持つこととなります。
しかし、この辺は販売代理店とよく相談してください。

中国の多くの販売代理店は1個も売っていないうちから
すぐに「独占代理権をくれ」と言いますが、
そういう会社には「たくさん売ったら独占にしてあげるから、
がんばって売ってくださいね」と言っておけば良いです。
もし、「独占代理権をくれなければ、
代理店にはならない」というようなことを言いだしたら、
「代理店になって頂かなくて結構です」
と丁重にお断わりしてください。

こう書いていくといとも簡単に
自社製品が中国で売れていきそうな感じがしますが、
実際は現時点では予想もできない
様々な落とし穴が待ち受けているかもしれません。

しかし、中国で工場を作るのとは違って、
かかるコストは中国人社員の人件費、中国への出張費用、
展示会の出展費用ぐらいのものです。
中国マーケットが自社製品の
未来の主要マーケットになるかもしれないことを考えれば、
試してみる価値は十分にあるのではないか、と私は思います。


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2008年7月4日(金)

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