第892回
日本製造業復権のカギは中国マーケットにあり!

もっと言えば、既に中国にあるモノで、
尚且つ今中国で売られているより値段が高いモノでも、
「品質やデザインが抜群に良いモノ」であれば、
売れる可能性はあります。

品質は日本企業のお家芸ですが、
最近は中国製の製品の品質もかなり良くなってきており、
品質で大きな差別化をするのは難しくなってきました。
中国製の製品と大きな差別化をするためには、
品質よりもむしろデザインです。

中国製の製品のデザインは、
以前よりは良くなってきたとは言え、
日本や諸外国の製品のデザインと比べると、
まだまだ垢抜けません。

資本主義国家になって日が浅い中国は、
製品の品質の面では諸外国に追い付きつつありますが、
工業デザインの面では人材や経験の蓄積が明らかに不足しており、
人マネではない独創的で優れたデザインの
モノを生み出すまでにはまだまだ長い時間がかかりそうです。

これは北京に来て、
中国系のデパートに行けばすぐわかります。
中国系のデパートには中国ブランドの
洋服や雑貨がたくさん売られていますが、
「これは欲しい!」と思わせるような
素敵なデザインのモノに行き当たることはほとんどありません。
こうしたマーケットにデザインが抜群に良い
日本製のモノを投入すれば、
中国ブランドのモノより値段は高くても、
買ってくれる人はいるのではないかと思います。

今まで、中国マーケットは中国に工場を持って
現地生産をしている大企業の独壇場でした。
しかし、今後、中国の日本製品の輸入が
現実的なものとなってくれば、
中国に工場を作ることのできない日本の中小企業にも、
巨大マーケットの門戸が開かれることになります。

日本には安い中国製品の流入によって、
青息吐息の中小製造業の会社が多くあると思います。
彼らは「中国のせいで...」と思っているかもしれませんが、
そうした時代は終わりに近づいています。

今後、中国の人件費の上昇、人民元高が進んで、
自社製品の中国向け輸出に成功すれば、
縮小するばかりの日本マーケットに頼っていたら
潰れていたかもしれない会社が息を吹き返し、
「中国のおかげで...」となるかもしれません。

そういった意味では
日本製造業復権のカギは中国マーケットにあり!、
と言っても過言ではないのです。


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2008年7月2日(水)

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