第866回
和僑が未来の日本を救う?
普通「出稼ぎ」というと、
「所得の低い地域から所得の高い地域に行って働く」
ということを意味します。
しかし、私は平均所得額が中国より高い日本に住む人が
中国に「出稼ぎ」に来ることも
非常に合理的な選択だと思います。
なぜなら、経済がそれほど成長せず、
市場も成熟してしまっている日本より、
高度経済成長が続き、且つ、
市場が未成熟な中国の方が、
おカネを稼ぐのが簡単だからです。
「サービス精神」、「完璧主義」、「生真面目さ」といった
日本人の特長は日本人なら誰でもが持っているものですので、
日本にいては武器にはなりません。
日本ではこれらは競争以前の当たり前のことですので、
競争はもっと高度な次元で行われます。
しかし、ここ中国では、
日本人にとっては当たり前のことでも誰もできていない、
ということがたくさんありますので、
こうした日本人の特長が大きな付加価値を生むのです。
ニッポン人はその持って生まれた能力を、
日本国内の次元の高い競争でムダ使いするのではなく、
中国などそうした能力が
付加価値を生む場所で多いに発揮した方が、
本人にとっても、また、ニッポンという国にとっても
有意義なのではないでしょうか。
こういう話をすると
「ただでさえ少子化で働き手が少なくなるのに、
大量の日本人が中国に出稼ぎに出たら、
日本で働く人がいなくなってしまうではないか」
という人がいます。
しかし、それは労働者の数と生み出される付加価値が
比例関係にあった工業時代のものの考え方であり、
情報時代の現代においては、
国民1人1人がより付加価値の高い仕事をして
1人当たりのGDPを上げ、
人数が減っても生み出される付加価値は逆に増えていく、
という産業構造を目指した方が良いのではないか、
と私は思います。
それよりも、今の中国の経済成長に
華僑の投資が大きく貢献しているように、
海外に出稼ぎに出て成功した和僑が
出稼ぎで稼いだおカネを日本に投資して、
未来の日本を救う可能性に注目すべきです。
もしかしたら将来、欧米の悪徳ファンドに
敵対的買収を仕掛けられている日本企業を助けるために、
中国で大もうけした私が、その潤沢な資金を武器に
北京からホワイトナイト(白馬の騎士)として駆けつける、
などということも起こるかもしれません。
あくまで私が中国で大もうけしたら、の話ですが...。
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