第861回
北京の客待ちタクシー
オリンピックまであと3ヶ月半しかないというのに、
北京のタクシー運転手の態度の悪さは
全く改善される気配がありません。
誰でもが知っているような有名な地名を告げても、
近いところだと「行き方がわからない」とウソをついて
お客があきらめるまで待つ。
「行き方は教えるから行ってくれ」
と言うとしぶしぶ走り出すが、
「3時間も待ってこんな近いところじゃ商売にならないんだよ。
あんたわかってんのか。今日は本当に運が悪いぜ」
などと文句を言う。
運転をしながら携帯電話で運転手仲間と
「今日は短いのばっかりで、まだ200ちょっとだよ」
などと愚痴をこぼし合う。
目的地に着いて100元札を出すと、おつりがないフリをして
お客が「じゃあ、おつりはいらないよ」と言うのを待つ、
などなど。
北京市はオリンピックを控えて、
タクシーの色を従来の赤一色から、
やまぶき色と緑や青のツートンカラーに変更、
車種もほとんどのタクシーが現代エラントラや
フォルクスワーゲンサンタナ3000など
新しいものになったのですが、
運転手のサービスは全然進歩していません。
まさに「ハード一流、ソフト三流」の
今の中国を象徴しているような業界です。
しかし、最近気付いたのは、
こうした態度の悪い運転手は空港やホテルなどの前で
客待ちをしているタクシーに多く、
いわゆる流しのタクシーは、
比較的態度の良い運転手さんが多い、ということです。
客待ちの運転手は、客待ちしている間は休めますし、
空車で走ってガソリンを浪費することもありませんので、
一見合理的なように見えますが、
長い行列に並んで客待ちをしていますので、
1日にお客を乗せる回数は限られてきます。
こうした数少ないチャンスを生かすために、
乗車拒否やぼったくりスレスレの行為を繰り返すのでしょう。
こうしたことに気付いてから、
私は客待ちのタクシーがあっても、
わざわざ大通りまで歩いて行って
流しのタクシーを拾うようになりました。
客待ちのタクシーでイヤな思いをして、
私と同じように流しのタクシーにしか乗らない人が増えれば、
客待ちのタクシーに乗る客は減り、
運転手は1日の売上を確保するために、
更に乗車拒否やぼったくりに類する行為を
エスカレートさせることが予想されます。
北京の客待ちタクシーの運転手たちには、
自分で自分の首を絞めていることに、
早く気付いてほしいものだと思います。
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