第860回
13億枚の「銀聯カード」

中国の人たちは日本に行くと大量の買物をするのですが、
その買物に拍車をかけているのが「銀聯カード」です。

「銀聯カード」とは中国の主要銀行が
共同出資で発行しているカードで、
銀行預金残高を上限としてカード決済ができる、
いわゆるデビットカードです。

この「銀聯カード」、中国ではなんと
既に13億枚が発行されているそうです。
1人で何枚も持っている人がいますので、
「13億人民が1人1枚持っている」というわけではありませんが、
それにしてもかなりの普及率であると思われます。
このカードが最近、日本のデパートや家電量販店で
使えるようになっているのです。

人民元はハードカレンシー(兌換可能通貨)ではありませんので、
以前は中国人が日本に観光旅行に行くに当たっては、
外貨を持っている友達や、
銀行の前にたむろしている怪しげなヤミ両替屋に頼んで、
ものすごく悪いレートで人民元を外貨に
換えてもらわなければなりませんでした。

それがこの「銀聯カード」を使えば、
日本で買物をしても中国の銀行の人民元口座から
買物代金が引き落とされますので、
中国人観光客は外貨の調達に
頭を悩ませる必要がなくなりました。

中国人観光客にモノを買ってもらうには、
この「銀聯カード」の加盟店になることは、
非常に重要であると思います。

「銀聯カード」はもちろん、中国国内でも使えます。
ある程度の規模以上のお店なら
ほとんどのところで使えますので、
これを1枚持っていれば、
かさばる100元札を大量に持ち歩く必要がなく
非常に便利です。

10年前の中国では、クレジットカードを使おうとすると、
いちいち店員が銀行に電話をかけて、
私の預金残高が足りているか確認していましたので、
決済にえらく時間がかかりました。

「中国は不信社会だし、銀行残高の確認に
こんなに時間がかかるんじゃ、
こりゃ中国ではクレジットカードは永久に普及しないな」
と思ったものですが、その後、
銀行残高確認時間の問題はITの進歩により解決されました。

しかし、中国が不信社会であることは今も変わりはなく、
その結果として、中国ではクレジットカードではなく、
「銀聯カード」というデビットカードが
普及したのではないかと思います。

日本やアメリカではクレジットカードの使いすぎによる
多重債務者の増加が社会問題になっていますが、
今後は不信社会先進国・中国を見習って、
「銀聯カード」のようなデビットカードを
普及させた方がよいのかもしれません。


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2008年4月18日(金)

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