第854回
買い手市場が生むクレーマー

私が12年前に中国に住み始めた当時、
中国には物資が少なかった売り手市場時代の習慣が残っており、
「料理が出てくるのが遅い!」などと文句を付けても、
「それがイヤだったら他の店に行け!」
と言われるのがオチでした。

「お客様は神様です」が常識の国から来て、
「何しろおカネを払う客の方がエライ」と思っていた私にとって
これは大きなカルチャーショックであり、
「なんてイヤな国に来てしまったんだろう」と思ったものです。

しかし、その後の経済成長で中国も物資が豊富になり、
最近では完全な買い手市場になってしまいました。
それと同時に、消費者の発言力もどんどん大きくなっており、
現在のクレーマー大量発生に至っているわけです。

売り手が「売ってやる」という態度の国もイヤですが、
クレーマーが消費者の代表のような顔をして、
エラそうに店員をいじめる国もかなりイヤです。

私個人的には日本も中国も、消費者と店側が対等な立場で、
双方が喜んでおカネとモノやサービスを
交換できるような社会になればよいと思うのですが、
そんな社会の実現は需要と供給が完全にバランスしない限り
不可能なのかもしれません。

消費者が購買力を付けてきた中国マーケットは、
私たち外国人にとっても大きな魅力があります。
しかし、購買力と同時に発言力も身に付けつつある
中国の消費者の中からはクレーマーが
大量に発生し始めています。

昔のように
「イヤだったら他の店に行け!」で済めばよいのですが、
そんな対応を続けていたら、
買い手市場の今の中国ではお客さんが来なくなってしまいますし、
インターネットの掲示板で店の悪口を広められたり、
人を雇って店に嫌がらせをされたり、
という可能性もなきにしも非ずです。

今後、購買力を付けつつある
中国の一般消費者をターゲットとして、
中国で起業をしようと考えている方も
いらっしゃると思います。
その際には、
クレーマー先進国である日本の対応事例を参考に、
万一の時のためのクレーマー対策も
万全にしておく必要があると思います。


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2008年4月4日(金)

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