第840回
「サービスの悪い店」と「悪いサービスを気にしないお客」
先日、事務所の近くにある
星巴克(しんばーかー、スターバックス)に
コーヒーを飲みに行ったのですが、
2人の男性店員はインターネットか何かの話に熱中していて、
私がカウンターのところにいても気が付きません。
コーヒーを注文するために店員を呼んだところ、
のろのろとカウンターまで来たのですが、
決められたセリフを私に言い終わると、
レジを打つ時も、コーヒーを作る時も、
ずっと同僚と大声でおしゃべりしっぱなしです。
中国には「店員はお店がヒマな時は
同僚とおしゃべりしててもいい、の法則」
みたいなものがあって、
中国系のお店ではこんなことは日常茶飯事なのですが、
外資系、それもホスピタリティーを1つの売りとしている
シアトル系でこの対応は止めてほしいです。
この中国ビジネスのススメ、
2002年11月1日の記念すべき第1回の題名は
「おつり投げ返しますか、普通」。
私が星巴克でおつりを投げ返されて怒っているところから
この連載は始まるのですが、
星巴克のサービスはあれから5年以上経った今でも
進化しているとは言い難いのではないでしょうか。
しかし、これはなにも星巴克に限った話ではなく、
肯徳基(けんだーじー、KFC)や
吉野家(じーいえじゃー、吉野家)など
他の外資系チェーン店のサービスもひどいものです。
こうしたチェーン店の本社の社長はお忍びで中国に来て、
自分の会社の看板を掲げたお店が、
どんなにひどいサービスを提供しているのか、
ぜひ見てほしいものだと思います。
ただ、私は日本にある同じ会社のチェーン店で、
すばらしいサービスを受けたことがあり、
それらと比較するからものすごく腹が立つわけであって、
大部分の中国の人たちは最初から
「こんなもんだ」と思っているため、
サービスのひどさは気にもならないようです。
中国人の友人と星巴克にコーヒーを飲みに行って、
私が店員の態度の悪さに腹を立てても、同意するどころか、
「柳田、お前は星巴克にコーヒーを飲みに来たんだろ。
目的であるコーヒーはこうしてちゃんと手に入っているんだから、
店員の態度なんかどうでもいいじゃないか」
と逆に諭されてしまうのです。
中国では「サービスの悪い店」と
「悪いサービスを気にしないお客」の間で
うまく折り合いがついているため、
サービスの悪さに腹を立ててイライラするのは、
海外のレベルの高いサービスに慣れた
私たち外国人だけになってしまうのです。
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