第819回
簡単に値引きに応じる中国企業
中国企業と値段の交渉をしていると、
時々、いとも簡単に値段を下げてくることがあります。
何も知らない外国人は
「交渉上手と言われる中国人との交渉に勝って
値引きを飲ませた。オレの交渉能力はたいしたものだ」
などと言って喜ぶかもしれませんが、
実はこれが怖いのです。
アメリカ企業や日本企業は、
コストを割らないことや
その他の契約条件を守ることを
大前提として交渉に臨みますので、
無理な値引き要求は絶対に飲みません。
しかし、全てとは言いませんが、
一部の中国企業は目の前の契約欲しさに、
とりあえず相手の言い値で契約をしておいて、
工場に帰ってから
「どうしたらこの値段で売っても、
赤字がでないようにできるか」
と考えているようです。
今回の鉛入りおもちゃの件では、
契約書には当然、「鉛フリー塗料」の使用が
定められていたものと思われますが、
値段の高い「鉛フリー塗料」を使うと
契約した価格では
赤字が出てしまうのでしょう。
そこで何とか利益を出すために、
値段の安い「鉛入り塗料」を使った、
というのが実情かと思います。
もちろん、中国の下請け工場も
契約条件に「鉛フリー塗料」の使用が
定められているのは知っています。
しかし、検品の際に塗料の中の鉛含有量まで
検査されるわけではありませんし、
赤字では商売になりませんので、
「バレなきゃ何をしてもよい」の法則に則って、
特に罪の意識もなく、
「鉛入り塗料」を使うに至ったのではないでしょうか。
そして「契約書には「鉛フリー塗料」の使用が
義務付けられているのに、
どうして「鉛入り塗料」を使うんだ!」という
先進国企業のクレームに対して、中国の下請け工場は
「あんな値段で「鉛フリー塗料」が
使えるわけないでしょ!」と反論をし、
議論は平行線をたどることになるのです。
これはおもちゃに限らず、
全ての中国製品に言えることです。
中国から商品を買い付ける場合、
まだできていないものを値切るには、
それなりの覚悟が必要なのです。
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