第782回
北京に移り住む韓国人
北京には韓国人の人が12万人以上住んでいる、
と言われています。
これは北京に住む日本人の約10倍の数です。
北京の北東部の近郊にある
望京(わんじん)と呼ばれるニュータウンには、
5万人の韓国人が住んでいるそうです。
望京ではそうした韓国人をターゲットとした
韓国焼肉屋やその他のお店が
ハングル文字の看板を掲げているため、
さながら「北京のコリアンタウン」
といった様相を呈しています。
また、北京の大学に留学して
中国語の勉強をしている外国人は、
韓国人が圧倒的に多いようで、
北京最大の外国語大学・北京語言大学がある
五道口(うーだおこう)には、
コリアンストリートと呼ばれる通りに、
韓国系の店が軒を連ねている、と聞いています。
先日、中国全土に住む韓国人の組織である在中国韓国人会から、
北京日本人会に相互交流の申し出がありました。
その際に、北京日本人会の会員数が2千人弱であるのに対し、
在中国韓国人会は35万人と会員数が二桁も違うことが判明し、
改めて中国に住む韓国人の多さと、
その結束力の強さを認識しました。
北京は地理的に韓国から近い、ということもあり、
現代、三星、LGなど、韓国の大企業も
投資やマーケティングに非常に力を入れているのですが、
そうした韓国企業の駐在員だけでは、
12万人という人口にはなりません。
北京に住む韓国人が急激に増えたのは、
1997年のアジア通貨危機の時です。
韓国はこの時、韓国という国自体が破産して、
なくなってしまうのではないか、
と思われるほどの経済崩壊で大混乱に陥り、
多くの韓国人が、当時既に高度経済成長期に入り、
好景気を謳歌していた中国に来て職を求めたのです。
北京に来た韓国人の人たちが多かったのは、
北京には朝鮮語を話せる朝鮮族の人たちが経営する会社も多く、
中国語を全く話せない韓国人でも就職先があった、
ということのようです。
また、中国語を勉強するために
北京に留学してくる韓国人留学生が多いのも、
アジア通貨危機の時の教訓から
「これからの時代、万一、韓国経済が
再び大不況に陥ったとしても、
中国語さえ話せれば食いっぱぐれることはないだろう」
という思惑からのようです。
どちらにしても、北京に移り住んできた韓国人の人たちは、
チャンスを求めて積極的に海を渡った、というよりは、
やむを得ない事情で中国に来ざるを得なかった、
という人が多いようです。
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