第767回
豚肉ドロボーとニセタマゴ
7月の中国の消費者物価指数(CPI)上昇率は
前年同月比5.6%の上昇と、
10年前、1997年1月(5.9%)以来の
高水準になりました。
特に、庶民の生活を直撃する食品の価格は
同15.4%の上昇と、
かなり危険な状態になっています。
過剰流動性によるインフレは、
昨年までは不動産や株式市場という、
どちらかと言うと金持ちの世界の話だったのですが、
今年に入ってからは食品に波及し、
庶民の生活を圧迫し始めています。
この食品価格の上昇により、
中国では数々の珍事件が発生しています。
まず、広東省深セン市では、
豚肉の価格高騰を知った男が、
オートバイに積載された豚肉125kg、
末端価格3,000元(48,000円)相当を
オートバイごと強奪する、
という事件が発生しました。
男は豚肉を積んだオートバイで逃走したのですが、
豚肉が重過ぎてオートバイのスピードが出ず、
通報を受けて追跡した警察官に
あっけなく取り押さえられてしまいました。
いくら高くなったと言っても、所詮は豚肉。
重いわ、かさばるわ、腐るわ、ですので、
ドロボーの対象としては、
あまり賢い選択とは言えません。
もう1つは、河南省鄭州市で
ニセタマゴが発見される、
という事件が起きました。
このニセタマゴ、
白身はアルギン酸ナトリウム水溶液を
主原料とした半透明の液体、
黄身はこれに黄色の着色料を
加えたものなのだそうです。
現在、タマゴの販売価格は
1kg 6.5元(104円)前後まで高騰しているのですが、
このニセタマゴの製造コストは
1kg 0.55元(9円)と1/10以下なのだそうです。
こちらは、豚肉ドロボーに比べれば
かなり知的ではあるのですが、
騙されてわけのわからないものを
口に入れさせられる消費者の側から見れば、
こちらの方がずっと悪質です。
ニセタマゴ生産業者の中には、
黄身のホンモノらしさを追求するために、
でんぷんや小麦粉を添加して、
口当たりを良くするなどの
努力をしている人もいるとのことです。
その努力、まともな商売で発揮すれば、
ニセタマゴなど作って危ない橋を渡らずとも
十分成功できると思うのですが...。
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