第737回
グルになって甘い汁を吸う人たち

中国では警察も信用できませんが、
お役人も信用できません。

特に中国の田舎では、
お役人がその職権を濫用して
甘い汁を吸っていることが多いようです。
中には、役場に何かを申請する度に
接待や付け届けを要求され、
それをしないと通るものも通らない、
ということもあるそうです。

先日お話しした「21世紀の奴隷工場」事件でも、
誘拐された子供たちが
山西省の会社登記をしていない闇レンガ工場で
強制労働をさせられていましたが、
地元の役人がその工場の存在を
知らないわけがありません。

私も山西省に出張した際に、
よくレンガ工場を見かけましたが、
レンガ工場は直径10mぐらいのドーム型の炉と
高さ15mぐらいの煙突で構成されています。
マンションの一室に作られた
ニセ札工場が摘発できなかった、
というのならまだしも、
登記もされていないのに
こんな巨大な工場が地元にできたら、
誰だって気付きます。

そんな闇レンガ工場が
何のお咎めもなく操業できていた、ということは、
地元のお役人が闇工場のオーナーからワイロをもらって、
目こぼししていたとしか思えないのです。

こうした地元の警察、ヤクザ、お役人、
国有企業、企業オーナーが
みんなグルになって人民から搾取し、
自分たちは甘い汁を吸う、という構図は、
中国の一部の田舎ではいまだに残っているようです。

そしてそうした既得権者たちの悪行を
公然の秘密として知っている地元住民は、
普段から不満を腹の中に蓄積し、
誰かが警察官に殴り殺された、とか、
女性が拉致されて強制的に
不妊手術を受けさせられた、といった
ちょっとしたきっかけがあると、
数千人規模の暴動、という形で
その不満を大爆発をさせるのです。


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2007年7月9日(月)

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