第645回
「狂犬病感染防止」と「動物愛護」

先日、日本大使館と北京日本人会の定期会合で、
日本大使館の医務官の方に
狂犬病についてのレクチャーをして頂きました。

それによれば、狂犬病という病気は、
狂犬病を発症した犬にかまれると、
その犬の唾液に含まれる狂犬病ウイルスが
体内に入って神経に感染するのだそうです。
感染後、ウイルスは神経を伝って
徐々に脳に近づいていきます。
この感染してからウイルスが脳に到達するまでが、
潜伏期間と言われる期間であり、
狂犬病の場合、数日から約半年なのだそうです。

そして、ウイルスが脳に到達すると発症し、
発症すると3-4日でほぼ100%死亡するそうです。
このため、犬にかまれて感染した場合、
ウイルスを脳に到達させないために、
24時間以内にワクチンの接種を受け、
その後も1カ月以内に計5回のワクチン接種を
受ける必要があるそうです。

狂犬病は犬以外でも、
猫、アライグマ、コウモリなども感染するらしいので、
何しろ動物にかまれたら、石鹸を使って、
流れる水で何度も丁寧に消毒し、
すぐに信用できる病院に行って
ワクチン接種を受けることが大切なのだそうです。

北京市衛生局の発表によれば、今年1-10月、
市内で動物にかまれた人は前年同期比28.1%増の
11万3千人に上ったそうです。
その内、狂犬病の発症が確認されたのは10人で、
全員が死亡しているそうです。

北京市当局は狂犬病の市民への感染を防止するために、
市街地での体高35cm以上の犬の飼育を禁止したり、
犬の散歩についても細かな規定を設けていますが、
いまだに街中で大きな犬を見かけたり、
住宅地で犬を放し飼いにしている飼い主が
多くいるのが現状です。
北京市当局は、今後、ペットの飼育についての取り締まりを
更に強化していくことが予想されます。

その一方で、先月、北京で愛犬家たちによる、
ペット処分に対する抗議デモが発生しました。
抗議デモは北京動物園の前で行われ、
参加者は約1,000人、3時間以上にわたり
「ペット犬虐殺反対!」などと訴えていたそうです。
これに対し300人の警察官が動員され、
20人以上が連行された模様です。
新聞報道によれば、このデモは、
昨年4月の反日デモ以来の大規模デモだった、
とのことです。

「狂犬病感染防止」と「動物愛護」。
北京市当局には、どちらを優先すべきか、という発想ではなく、
ペット犬への予防接種の徹底や、
万一かまれた場合の対処方法の啓蒙など、
犬を殺さずに狂犬病の蔓延を防ぐ方法を、
ぜひとも考えてほしいものです。


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2006年12月6日(水)

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