第598回
子供を産んでも損をしない世の中

日本人が子供を産まないのは、
日本では子供を産むと損をするからです。
日本では子供を産んでから大学を卒業させるまでに、
1人当たり3,000万円以上の
コストがかかると言われています。

2人産めば6,000万円、
3人産めば9,000万円。
生涯賃金が2億円から3億円と言われている
日本人サラリーマンにとって、
子供を持つことは
非常に大きなコスト要因なのです。

一方で、中国人が子供を産みたがるのは、
中国では子供を産むと得をするからです。
中国の農村では、子供を産むことは
労働力が増えること、ととらえられています。
小さい頃は役に立ちませんが、
ある程度まで大きくなれば、
農作業を手伝わせてより多くの畑を耕し、
一家の収入を増加させることができます。

このため、中国の農村では今でも、
子供を産むに当たっては、
嫁に行かず、いつまでも労働力として
家計を支えてくれる男の子を好む傾向があります。

一人っ子政策を導入している中国では、
1人しか子供を産んではいけませんので、
女の子が産まれてしまうと、
家計の将来の収入計画に大きな影響を与えます。

ですので、中国の農村では、女の子が産まれると、
殺してしまったり、戸籍を登録しなかったりして、
男の子が産まれるまで子供を産み続ける、
ということが、今でも行われているようです。

男の子が産まれてくるか、
女の子が産まれてくるかの確率は、
自然にしていればほぼ1:1のはずなのですが、
こうしたことが行われているため、
中国では、新生児の男女の比率が、
女の子100人に対して男の子が119人という
異常な状態になっているのです。

ただ、これは人口の7割を占める農村での話です。
同じ中国でも、日本と同様、
教育費の高騰で子供を産むと損をする、
北京や上海などの大都市では、
子供を産まない夫婦が増えており、
一人っ子政策とは関係なく、
自発的な少子化が進んでいるようです。

こう考えていくと、
日本はいくら女性が子供を産みやすい環境を整えても、
子供を産むと損をする、という状況を変えない限り、
少子化問題は解決しないように思います。

中国の農村のように子供を産めば産むほど得をする、
とまではいかなくても、少なくとも、
子供を産んでも損をしない世の中にすることが、
今後の少子化対策の
キーポイントになるのではないでしょうか。


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2006年8月18日(金)

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