第597回
人口減少に困る日本と人口増加に困る中国
2005年の日本の合計特殊出生率、
すなわち、1人の女性が生涯に産む子供の数は、
前年の1.29から更に低下して
1.25になったそうです。
この合計特殊出生率は2.08以上でないと、
人口は維持できないと言われており、
日本では実際に人口の減少が始まりました。
人口が減少すると、経済成長が鈍化したり、
年金の原資が足りなくなったりするため、
今、日本では「少子化対策」と称して、
女性が子供を産みやすい環境を整え、
「産めや増やせや」の政策を推進しています。
一方の中国。
中国は人口の増加に歯止めをかけるため、
1979年に一人っ子政策を導入しました。
一人っ子政策が導入されて、今年で早や27年。
2人の親から1人の子供しか生まれないわけですから、
理論的には一世代で人口が半減する計算なのですが、
中国の人口はいまだに増えつづけ、
2005年末の時点で13億人に達しています。
ただ、これは戸籍を登録している人の数であり、
中国にはこれに加え、戸籍の登録をしていない人が、
更に数億人いると言われています。
中国の国土は非常に広いですが、
生産できる食糧には限りがありますし、
エネルギーも輸入に頼らざるをえなくなってきました。
中国のGDPは、アメリカ、日本、ドイツに次いで、
世界第四位になりましたが、
1人当たりのGDPはまだ1,000米ドル強と、
日本の1/30。
今後、国民全体の生活レベルを底上げし、
国民1人1人が豊かに暮らせる社会を築くためには、
これ以上人口を増やしてはいけないのです。
現在の予想では、中国の人口は、
2030年前後に15億人台でピークを迎え、
その後、減少に転じると言われています。
一人っ子政策という、超過激な政策をもってしても、
人口の増加にブレーキをかけるまでに、
実に半世紀もの月日を費やすことになるのです。
人口減少に困る日本と、人口増加に困る中国。
隣国同士でありながら、全く正反対の現象で困る両国。
この矛盾の原因は、両国の親の子供を産むことに対する
損得勘定の違いにあるのではないか、と私は思います。
日本では子供を産むと損をしますので、
ほっておくと人口が減りますが、
中国では子供を産むと得をしますので、
ほっておくと人口が増えるのです。
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