第513回
未来の国からきたドラえもん

「IT業界では、アメリカで流行ったものは、
時間をおいて日本でも必ず流行る」という
「日米タイムマシン経営」を提唱したのは、
ソフトバンクの孫正義社長ですが、
僭越ながら私は、「日本で流行ったものは、
時間をおいて中国でも必ず流行る」という
「日中タイムマシン経営」を
提唱させて頂きたいと思います。

今の中国は様々な面で、ちょうど40年前、
1960年代の日本の高度経済成長期とそっくりです。
オリンピック、万博を数年後に控え、経済は絶好調。
人々はマイカー、マイホームを夢見て、モーレツに働く。

そんな古き良き高度経済成長期を、
40年前に既に経験している私たち日本人には、
お金を持ち始めた人々が、次に何を欲するのか、
ということが手に取るようにわかります。

また、中国は、
「サービスにお金を払う」という概念が、
つい最近定着し始めたばかりです。
一方、日本のサービス業界は長い歴史を持ち、
痒いところに手が届く、
至れり尽せりのサービスに関しては、
世界でもトップレベルを誇ります。

サービスに関しては、
日本は中国より何十年も進んでいますので、
日本では当たり前すぎて
陳腐化してしまったサービスでも、
中国に持ってくれば
まだまだ十分に商売として成り立つ、
というものがたくさんあります。

そういった意味で、私たち、中国に住む日本人は、
まさに、未来の国からタイムマシンに乗ってやってきた
ドラえもんのような存在なのです。

「豊かになった中国の人たちが次に欲しがるモノ」とか、
「日本にはあるが、中国にはないサービス」
という観点で考えていけば、私たち日本人にとって、
中国の人たちには見えないビジネスチャンスを見つけるのは
難しいことではありません。

この「未来を知っている」という圧倒的に有利な立場。
これを利用しない手はありません。
これも私が、中国起業をおススメする理由の一つです。

但し、未来の国からきたドラえもんも
万能ではありません。
ドラえもんの欠点は、
22世紀の世界から来たので、
20世紀の事情に疎いことです。

私たち日本人が中国起業して成功するかどうかは、
20世紀の事情に詳しいのび太くんのような、
中国人のパートナーを見つけることができるか、
にかかっているのではないでしょうか。


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2006年2月1日(水)

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