第496回
この携帯電話、護身用としても使えるんですよ

中国の人たちは、メンツを立てるために、
携帯電話を頻繁に買い換えているようですが、
私は4年前、起業したときに買った
ノキアの8250という古い携帯電話を
いまだに使い続けています。

このノキア8250、発売当初はちょうど
青色発光ダイオードが普及し始めていたころで、
画面のバックライトが青い、というだけで、
友人からはずいぶんうらやましがられたものです。

しかし、今や、携帯電話はカラーの大画面で、
カメラ付きやMP3付きが当たり前。
モノクロ画面の8250は、
人前で出すのがはばかられるような
時代遅れの携帯電話になってしまいました。

ただ、壊れないし、小さいし、
操作性もいいし、デザインもいいし。
8250は電話をかける道具として使うには、
全く問題がありませんので、
これからも寿命が来るまで
大切に使いつづけるつもりです。

さて、私が中国に来た10年前。
当時の携帯電話はレンガのように大きく重く、
持っているだけで手首が鍛えられるような代物でした。

「柳田さん、この携帯電話は通話用としてだけではなくて、
暴漢に襲われたときの護身用としても使えるんですよ」。
赴任当時、丸紅北京支店の現地スタッフが、
こんな風に言っていたのを思い出します。
確かに、あんなレンガみたいなもので
頭を一撃されたら、暴漢もたまりませんわな。

その当時、中国の携帯電話業界は、
ノキア、エリクソン、モトローラの外資3社が
1/3づつシェアを分け合うような形で君臨していました。
その後、エリクソンが脱落し、
ノキア、モトローラの二強時代が長く続きましたが、
最近では韓国のサムスンや
中国国内のメーカーが徐々にシェアを伸ばし、
現在は群雄割拠状態になっています。

ある調査会社が調べた、今年上半期の
中国携帯電話シェアランキングは下記の通りです。
1位 ノキア 14.6%
2位 モトローラ 12.98%
3位 サムスン 10.46%
4位 寧波波導(バード) 8.89%
5位 康佳(コンカ) 5.8%

中国の携帯電話マーケットには、
松下やNECなど日本で大きなシェアを持つ
携帯電話メーカーも参入しているのですが、
ずーっと泣かず飛ばずの状態が続いています。

これは、中国と日本では携帯電話の通信方式が違い、
日本の携帯電話メーカーの中国マーケット参入が
大きく出遅れたことが原因なのではないかと思われます。

日本の携帯電話メーカー各社は、
日本独自の通信方式にこだわらず、
中国やヨーロッパ各国が採用している
GSM方式を早い時期から研究していれば、
中国マーケットでこれほどまでに
苦戦を強いられることも
なかったのではないでしょうか。


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