第471回
中国のサラリーマンと日本のサラリーマン
中国のサラリーマンは、
会社からサラリーをもらってはいますが、
マインドは個人事業主に近い人が多いように思います。
まず、就職先は会社の大小に関係なく、
将来の自分のキャリアアップに必要な
技能や知識が身につくところを選びます。
このため、中国の大学生の就職先人気企業ランキングには、
電気、通信、IT関係の、
いわゆる理系の会社がズラッと並びます。
就職後は、自分の担当以外の仕事はしようとしませんし、
自分の知識を同僚や後輩に教えることもしません。
そんなことをすれば、自分の価値が落ちてしまうからです。
上司との賃金交渉も非常に激しくやります。
そして、自分の能力を
少しでも高く買ってくれる会社があれば、
なんのためらいもなく転職します。
同じ業界で転職を繰り返すうちに、
業界の事情がわかり、ある程度の人脈ができると、
その知識と人脈を持って、会社を辞め、
すぐに独立してしまいます。
これも、最初からマインドが個人事業主なので、
会社を辞めて独立するのも
いかにもあっさりとしています。
中国のサラリーマンは、
「会社に所属して給料をもらっている」という意識はなく、
「自分で稼いだカネの一部を上納金として会社に搾取され、
その残りを給料という形で受け取っている」
と考えているように思います。
一方の日本のサラリーマン。
最近は、かなり就職に対する意識が変わってきている、
とはいえ、やはりまだまだ
「会社に就社する」という意識が強いように思います。
それゆえに、リストラされた元部長が再就職の面接に行って、
面接官に「あなたはなにができますか」と訊かれ、
「私は部長ができます」と答えてしまったり、
会社を定年退職したとたんに、
生きがいを失って突然死してしまう人がいたりするのです。
年功序列と終身雇用が日本の高度経済成長を支えたのは
まぎれもない事実ですが、
こうした日本特有のシステムが、
一歩会社の外に出ると何の役にも立たず、
すぐにばい菌にやられて死んでしまう、
無菌培養された人間を大量に作ってしまいました。
今後、日本では、雇用の形態が
更に自由化していくことが予想されます。
そうなると、日本のサラリーマンも
中国のサラリーマンを見習って、
個人事業主のマインドを持つことが、
ますます重要になってくるのではないでしょうか。
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